保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

東京都知事 ご就任へのメッセージ

公開日 2014年02月25日

2014年2月25日

東京都知事
舛添 要一 殿

東京保険医協会
会長 拝殿 清名

 東京都知事ご就任 おめでとうございます。私たちは都民の命と健康を守る保険医の団体ですが、貴殿の「原発に依存しない社会をつくる」というご意見に賛同いたします。日本は施策の8割以上で自治体が国に先行するといわれ、都民が圧倒的に原発廃止を求めている東京都の役割は大きいと考えます。

 ドイツでは福島原発事故の後すぐに脱原発を選択し、2013年の国内総発電量に占める自然エネルギーの割合が、23.4%に達しています。都内で生まれる自然再生エネルギーは消費電力の約6%ですが、貴殿は20%まで引き上げることを公約されました。就任わずか1週間後の2月18日に発表された補正予算案には、東京都が自然再生エネルギーの研究開発をおこない、東京オリンピックの選手村の電気を都民が生み出す電気で100%賄う方針を示されたことを、私たちは驚きと尊敬の念をもって迎えております。政府には1日でも早く、脱原発を決意してもらおうではありませんか。

 世界では自然エネルギーが原発をはるかに上回る発電量に達しており、昨年12月、世界銀行は原発への投資を行わないことを宣言しました。日本はいま、原発なしに電力の不足は起きておりません。原発に依存してきた日本の電気料金は米国の5倍、韓国の2倍で、おそろしく高コストです。原発が「重要なベース電源」というのは、売電側に立つ「高収益なベース財源」の意味ではないかと考えます。

 さて、14年間にわたる石原・猪瀬都政は、大規模公共事業に浪費を重ねる陰で、老人福祉費が予算に占める割合を全国第2位から43位にまで転落させました。いま東京は巨大な格差社会となっており、さまざまな領域で都政の方針転換を求めています。特養待機者4万人、認可保育園待機児2万人というのは、氷山の一角です。14年間一戸も新設されず、とり壊される一方だった都営住宅を待ち望む人たちの問題も深刻です。ぜん息医療費無料制度の存続や、麻しん風しんなどの感染症の予防対策も切実で緊急の課題です。 政府はとかく自助・自立を求め、共助・公助はほとんど聞かれなくなりました。国が負担する公助をほぼゼロにすることには問題があります。日本はセーフティーネットが破れ放題のようです。ひとたび失業、貧困、災害、難病に遭遇すれば、自力での回復が難しい社会になっています。

 貴殿が選挙戦の第一声で「知事の仕事は都民の命と財産を守ること。安心して安全に暮らせる東京を目指したい」と語ったことは高く評価されております。また選挙後には、「東京都全体の知事として選出されたので、一部の政党や団体のための政治はしない」という意味のことを語られた貴殿の公正な態度は、じつに爽やかに感じられます。

 貴殿はかねてより「ハード」より「ソフト」と発言しておられました。東京五輪を「史上最高のものにしたい」と語られるのは、モノではなく安全と「おもてなし」の心を言っておられる様子にも、心を動かされます。労働人口が減少してゆくわが国で、巨額の維持費が必要な施設を後世にのこせば、負の財産になる恐れがあります。五輪を口実にした大規模開発事業には浪費せず、安全で暮らしやすい東京を目指すことを願っております。

 知事就任直後で諸事ご多忙のことと存じますが、以下に私たちの火急のお願いを記載致しますので、ご検討いただければ幸甚です。

敬具

  1. 風しんの流行の翌年には多くのCRS(先天性風疹症候群)児が産まれます。国立感染症研究所の発表では2014年1月29日時点で60例、うち18例が東京です。CRSか否かの診断、両親へのカウンセリング、CRS児の治療・養育を含めた支援体制など、予想される課題について万全の対策を講じてください。
  2. 風しん・麻しんの大流行を再び起こさないように、成人男女が自己負担の心配なく、都内どこでもMRワクチンを接種できるような施策を講じてください。
  3. A型肝炎、B型肝炎、流行性耳下腺炎、肺炎球菌(高齢者と小児の補助的追加接種を含めて)、インフルエンザ(全年齢)、ロタウイルスの各ワクチンについて、都内全域で全額公費による接種ができるように、区市町村に対する財政措置を講じてください。
  4. 予防接種は区市町村の事業のため、区域外で接種する場合、自己負担となることがあります。このため多くの県が県内ならばどこでも公費で接種できる広域予防接種を実施しています。東京都も、都内全域どこでも予防接種を受けられるように広域化を推進してください。
  5. 東京都が全国に先駆けて実施してきたぜん息医療費全額助成制度は治療に大きく貢献してきました。この制度を守り、全額無料制度と新規患者の受け入れを継続してください。
  6. 慢性疲労症候群(筋痛性脳脊髄炎)などは国の「難病」指定がなく、障害が重くても公的な医療や福祉制度の支援を受けられません。このような「制度の谷間や空白」をなくすため、病名ではなく身体機能や生活の実態、社会的状況によって医療や生活支援が受けられるように、都としての予算措置を行ってください
  7. 都は医療療養病床を今年度末までに28,077床に増やす計画でしたが、2013年1月の医療病床(16,842床)と介護病床(5,840床)を合わせても22,682床にとどまっています。都民が必要とする病床数を確保するため、増床計画を堅持するとともに、療養病床の運営を支える財政的支援を行ってください。
  8. 都内の集合住宅に避難している原発事故被災者の孤立化を防止する活動を続けている社会福祉協議会等を支援するため、被災者の家族構成や年齢、職業の有無、出身市町村等の情報を社会福祉協議会等と共有できるように手立てを講じてください。
  9. 原発の再稼働を中止して自然エネルギーに転換する努力を東京電力に働きかけてください。
  10. 障害年金の受給認定にあたっては所定の診断書が使われてきました。しかるに東京都職員共済組合は、初診時からのカルテのコピー提出を求めてきました。そのような手続きの法令は存在しないばかりか,医師法の守秘義務に違反する行為です。カルテが公開されるならば、患者は医師に本当のことを話せなくなり、医療が成り立たなくなります。精神疾患などの治療上はとくに有害です。不当な要求はただちに止めるよう、東京都職員共済組合に働きかけてください。

以上

東京都知事 ご就任へのメッセージ[PDF:149KB]

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