在宅自己腹膜灌流指導管理料算定患者が、他院で人工腎臓等を実施した場合の取り扱いについての要望

公開日 2014年03月10日

2014年3月10日

内閣総理大臣 安倍 晋三 殿 
厚生労働大臣 田村 憲久 殿 
厚生労働省保険局医療課長 宇都宮 啓 殿
中央社会保険医療協議会会長 森田 朗 殿

東京保険医協会 会長 拝殿 清名
副会長 鶴田 幸男
同 須田 昭夫

 

 3月5日に厚労省から発出された通知によれば「在宅自己腹膜灌流指導管理料を算定している患者(入院中の患者を除く。)は週1回を限度として、区分番号「J038」人工腎臓又は区分番号「J042」腹膜灌流の1の連続携行式腹膜灌流のいずれか一方を算定できる。なお、当該管理料を算定している患者に対して、他の医療機関において人工腎臓又は連続携行式腹膜灌流を行っても、当該所定点数は算定できない」と下線部分が追加され、他院において人工腎臓等が算定できないことが明示されました。

 日本透析医学会によれば、在宅自己腹膜灌流を実施している患者において医学的な必要性から約20%(1,935人:2012年末)の患者に在宅自己腹膜灌流と人工腎臓が併用実施されています。その中には、患者宅あるいは患者勤務先から距離が遠い等の理由から在宅自己腹膜灌流指導管理を行う医療機関では人工腎臓は実施せず、患者近隣の透析クリニックと連携を図り、医学的管理が行われている患者が200人以上確認されていると報告されています。

 さらに、慢性腎不全の患者団体「全国腎臓病協議会」の関係者からは、「こうした患者は、全国で400人程度はいるのではないか」との情報も寄せられています。 慢性透析指導管理料などを算定されている透析患者の旅行先などで、臨時の血液透析を担当した医療機関は管理料を算定せず、透析の材料と技術料のみを算定します。このことによって患者の社会復帰が支えられています。在宅自己腹膜灌還流を行っている患者も出張先などでは、血液透析を受けます。これによって患者の社会適合が支えられてきました。腹膜灌流装置や1日当たり8リットルもの透析液を持って旅行するのは非現実的です。

 厚労省が不適切事例としてあげる例は、在宅自己腹膜灌流を行う患者がたまたまある期間、結果的に血液透析のみをうけた特殊な例と思われます。指導管理料を算定した医療機関は、定期的な血液検査、心電図、X線撮影、生活指導、透析施設の手配、緊急応需の体制などを行っていたと思われます。

 こうした稀少事例を元に他院での人工腎臓をすべて算定不可とすることは、医療現場に多大な混乱をもたらします。自己腹膜灌流指導管理を受け、就労や出張等のやむを得ない理由により他院で人工腎臓を実施する患者について、従前通りの取り扱いを認めるよう、われわれは以下のように強く要望いたします。

 一.上記通知の下線部分を削除し、従前通り、他院での人工腎臓等の実施を認めること。

以上

在宅自己腹膜灌流指導管理料算定患者が、他院で人工腎臓等を実施した場合の取り扱いについての要望[PDF:123KB]