在宅患者訪問診療料「同一建物居住者の場合」のレセプト請求時に「別紙様式14」の添付の義務付けの撤回または経過措置を求めます

公開日 2014年04月14日

2014年4月14日

厚生労働大臣 田村 憲久 殿 
厚生労働省保険局医療課長 宇都宮 啓 殿
中央社会保険医療協議会会長 森田 朗 殿

東京保険医協会会長 拝殿 清名 
研究部長 申  偉秀

 

 貴職におかれましては、国民医療の確保のために尽力されていることに敬意を表します。

 さて、2014年4月診療報酬改定では在宅医療について「在宅不適切事例の適正化」として、算定要件の厳格化や大幅引な点数の引き下げが行われました。在宅患者訪問診療料の通知で在宅医療を行う医療機関全てを対象に「患者または家族等の署名付きの訪問診療の同意書を作成する」ことや「訪問診療の診療時間(開始時刻と終了時刻)診療の場所を診療録に記載する」ことが求められました。さらに同一建物居住者の訪問診療料を請求する際には「別紙様式14」を添付することが義務付けられました。

 別紙様式14は、患者の訪問診療状況を記録するだけではなく、訪問診療日毎に同一建物全て記録を1枚づつ作成した上で、患者の「要介護度」「認知症の日常生活自立度」「患者住所」「訪問診療が必要な理由」を記載することとされています。

 これらの記載事項はレセプト審査には本来不要なものと考えられます。さらに医療担当する以下のような意見が出されています。

① 当該患者の記録に同日に、訪問診療した他の患者の訪問診療内容の情報が入っていて、個人情報保護法上の問題が生じる。

② 訪問診療時間の記載について、時間を見ながら診療することは誤診・医療事故などの医療リスクを増大させる。患者の病状により診療の時間は異なるものであり、開始時刻や終了時刻を記載する必要はない。

③ レセプトに添付するものであり、改めて患者の氏名や住所を書く必要性はない。

④ 「要介護度」「認知症の日常生活自立度」は医療保険の訪問診療の算定の可否の要件ではなく記載は不要である。

⑤ 患者の同意書を作成し、医師が訪問診療の必要性を判断していれば「訪問診療が必要な理由」は不要である。

⑥ 訪問診療日ごとに紙媒体の別紙様式14を作成するのは非常に煩雑すぎる。

 など多くの問題があります。

 そればかりではなく、2014年2月の支払基金受付分(全国分)の電子レセプトの割合は、件数ベースで93.8%、医療機関数ベースで78.8%に達しています。ところが別紙様式14の電子請求は、現在ところ不可能な見込みです。別紙様式14の電子請求で送信が可能な形式のデータ(電送用のフォーマット等)が開発されれば、レセプトと一緒に電子的に送信することはできますが、今のところ、公的機関では作成の予定はないとお聞きしています。

 今のままでは別紙様式14は、電送レセプトとは別に紙で送付することとなりますが、1日ごとに記載した別紙様式を患者ごと揃えてレセプトに添付する事務量は多大なもので、事務の機械化が進む中、大量の事務処理を手作業で行うことに対応しきれない医療機関が続出するおそれがあります。

 一方、在宅医療不適切事例の収集については、平成23年2月15日付事務連絡「在宅医療における患者紹介等について」等において地方厚生(支)局に依頼されています。別紙様式14で訪問診療の状況把握をすることも目標とされているのであれば、不適切事例の収集と同様に地方厚生(支)局に依頼すべきと考えます。

 つきましては「『診療報酬請求書等の記載要領等について』の一部改正について(平成26年3月26日保医発0326第3号)」を直ちに改定等を行い、以下の事項を早急に実現されますようを要望します。

1、在宅患者訪問診療料 同一建物居住者の場合(203点または103点)の診療報酬明細書(レセプト)提出時に別紙様式14の添付義務付けを撤回すること。なお、直ちに撤回が不可能な場合は、少なくとも上記の問題点①~⑥が解消されるまでは、別紙様式14の添付をしなくてもよいという経過措置を設けること。

2、訪問診療の詳細な状況を把握は、在宅医療不適切事例の収集と同様の方法で行うこととして、情報収集を地方厚生(支)局に依頼すること。

以上

在宅患者訪問診療料「同一建物居住者の場合」のレセプト請求時に「別紙様式14」の添付の義務付けの撤回または経過措置を求めます[PDF:134KB]