保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

法律制定の根拠はもはや崩れている――「医療・介護総合法案」の強行採決に抗議する

公開日 2014年06月19日

2014年6月19日
東京保険医協会
会長 拝殿 清名

 

 6月18日、「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案(以下、総合法案)」は、国民の命と健康に係る重大な法案であるにもかかわらず、わずかな審議時間のまま、参議院本会議で採決が強行され成立した。われわれはこの暴挙に満身の怒りをこめて抗議する。

  この法案は、医療法や介護保険法など、個別に徹底審議が必要な19もの法律の改定を一括して「処理」するという前代未聞の法案である。さらに効率化の名の下に患者を入院から在宅へ、施設から地域へと押し出して、必要な医療・介護を縮小させる内容であり、医療難民・介護難民をさらに生み出す危険のある法案である。

 それにもかかわらず衆議院ではわずか29時間、参議院でも22時間という極めて短い審議で採決が強行されてしまった。審議を通じて法案の内容を国民の前に明らかにするという、国会が持つ本来の役割を放棄したと言うほかない。そしてその短い審議の中でさえ、①介護予防のための訪問介護・通所介護の自治体移管によって、専門的介護が受けられなくなる、②強引な医療提供体制の縮小は、医療現場に混乱をもたらしかねないことなど、法案の問題点が明らかにされた。

 参議院では、厚生労働省が作成した資料の誤りなどによって、審議がたびたび中断した。中でも6月10日の厚生労働委員会では、介護保険の利用料を1割負担から2割に引き上げる根拠とされたモデル世帯の消費支出データをめぐって、支出を引いても「約60万円残る」ので2割負担は可能というこれまでの説明を、厚生労働大臣が全面撤回するという前代未聞の事態が生じた。この一事をとっても、法案の根拠が破綻していることは明らかである。

 消費税の増税とともに、社会保障の給付が制限される中で、高齢者夫婦2人で年金収入が年280万円以上の世帯に対して、介護保険の利用料を2倍に引き上げるというのは、所得再分配を否定し、社会保障制度の根底を揺るがすものといわざるを得ない。

 われわれは、国民のいのちと健康を守る保険医の団体として、社会保障制度を破壊に導く医療・介護総合法案の参議院本会議での採決強行と、その成立に対して抗議するとともに、法律の撤回を求めていく。

以上

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