訪問診療料は複数の医療機関で算定可にしてください

公開日 2014年06月24日

2014年6月26日

厚生労働大臣  田村 憲久 殿 
厚生労働省保険局医療課長 宇都宮 啓 殿 
中央社会保険医療協議会会長 森田  朗 殿

東京保険医協会 会長 拝殿 清名
研究部長 申  偉秀

 

 在宅患者のうち重症で多数の疾患に罹患し、複数化の医師の診療を必要とする患者が増えています。具体的な例としては、全身を管理する内科系の医療機関が訪問診療をして在宅時医学総合管理料を算定しています。その患者に褥創があるが、内科の医師は処置ができないので内科の医師とは別に皮膚科の先生が患家に定期的に患家に出向いて、褥創の処置を実施するような場合です。

 訪問診療料は1医療機関のみで算定することと規定されています。この場合、内科の医師が訪問診療料を算定しているので皮膚科では算定不可となります。また往診は患家の求めにより往診をして診療を行った場合に算定しますので、皮膚科では往診料の算定要件にもあわないことになります。

 必要に応じて皮膚科の専門医に患者から往診依頼をして、往診をすることは可能です。しかし、内科の主治医と連携がとりにくいですし、患者が往診依頼を忘れたり、早めに依頼をするなどの場合は、治療がうまくいきません。

 このようなケースで皮膚科の医師が個別指導の対象となり、訪問診療を算定していたケースでは算定要件に合わないので、厳しく注意を受けた後に訪問診療料は自主返還をするようにという指導が行われています。また往診料を算定した場合には患家からの求めにより、往診をしているのか、何度も念を押される事例が出ています。このため往診や訪問診療を行う皮膚科、眼科、耳鼻科等の医師が減少し、やむなく遠方の患者の往診に出向く場合もありますが、個別指導時にはこのような事例について必要性の確認が詳細に行われています。

 2医療機関以上が往診または訪問診療をするのは不適切という前提があって指導が行われていますが、この間の厚労省の方針により在宅には複数の診療科の医師の診療を要するような多数の疾患に罹患した重症な患者が増加しています。入院では各科の医師が連携して診療に当たりますが、在宅医療ではそれが事実上できないような取り扱いになっており、診療報酬もその考え方に基づくものになっていますが、非常に不合理です。

 つきましては必要な患者には、複数の医療機関から訪問診療を行い、訪問診療料が算定できるように早急に在宅医療点数の算定要件を変更することを要望します。

1、訪問診療料について、複数の医療機関で算定可能にしてください。

以上

訪問診療料は複数の医療機関で算定可にしてください[PDF:107KB]