理事会声明「医療保険制度改革関連法案の成立に抗議します」

公開日 2015年06月13日

2015年6月13日
東京保険医協会 第3回理事会

 

 5月27日、「医療保険制度改革関連法案(持続可能な医療保険制度等を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律案)」が参議院本会議で採決され、自民、公明、維新各党などの賛成多数により、成立しました。 
私たちは政府・与党の考えが判明したときから、この法律案には以下のような内容が含まれていることを指摘し、慎重審議のうえ廃案とするよう求めてきました。

(1) もともと課されていなかった入院時食事療養費の自己負担を、現行一食260円から460円に引き上げ、経済的困難を抱えながら病気とたたかっている患者さんをさらに追い込む負担増計画

(2) 安全性、有効性が未確立な医療を、「患者の自己責任」において行わせる「患者申出療養」

(3) 都道府県に公的医療費削減の役割を課し、現行でも高すぎる保険料引き上げと、徴収強化に向かわせる「国保の都道府県単位化」など

 しかし、審議時間は異例の短さで、参考人質疑を含めても、衆議院では22時間、参議院は23時間弱でした。国民生活に重大な影響を与え、しかも多岐にわたる内容を一括した法案について、審議が十分に尽くされたとは到底言えません。

 両院それぞれの審議のなかでは、「経済的困難を抱えている患者さんが、入院時食事療養費の自己負担増によって、入院をあきらめることにはならないか」、「患者申出療養制度は、安全性・有効性が担保できるのか、予測しなかった医療事故や副作用が起こった場合、『患者の責任』で済まされるのではないか」、「患者申出療養では『6週間』の審査期間内に、どのような安全性・有効性が確認できるのか。本当に、将来的な保険収載につなぐことができるのか」、「今でも『払えないほど高すぎる保険料』や、強引な差し押さえで苦しんでいる国保加入者の数を、さらに増加させるのではないか」、などの懸念が次々に示されました。これらに対して政府は具体的な説明ができず、答弁を回避する態度に終始するなど、法案が準備不足であることが明白でした。

 国民のいのちと暮らしを根本から脅かす法案について、審議をつくすことなく成立させた与党などの責任は重大であり、強く抗議します。政府は、今回の国会審議を通じて明らかとなった法案の諸問題を是正し、国民の懸念を払拭しなければなりません。諸施策を検討、実施することを求めます。

理事会声明「医療保険制度改革関連法案の成立に抗議します」[PDF:116KB]