「平和安全法制整備法案」と「国際平和支援法案」の採決強行に強く抗議し、 これらの廃止を求めます

公開日 2015年10月10日

2015年10月10日
東京保険医協会 第7回理事会

 

 安倍政権は、衆議院に引き続き9月19日の参議院本会議で、「平和安全法制整備法案」(自衛隊法等10法の一括「改正」等)と「国際平和支援法案」の採決を強行しました。

 これら法案には、圧倒的多数の国民が反対していました。また、各弁護士会や大多数の憲法学者が憲法違反であると表明しました。こうした声や指摘に耳を貸さない強権的な手法は、民主主義の歴史に汚点を残すものと批判されています。私たちは、この憲法を踏みにじる行為に対して、強く抗議いたします。

 国会審議では、自衛隊が米軍指揮下に入ること、後方支援(兵站活動)と戦闘行為の境目がないこと、自衛隊員への安全配慮の法律規定がなく米軍への協力が迫られることが鮮明になりました。「改正武力攻撃事態法」では、集団的自衛権が行使される「存立危機事態」に対処するため指定公共機関は、米軍や自衛隊に対し物品役務の提供が義務化されます。さらには、米軍や自衛隊が必要とすれば、指定公共機関の範囲が大きく拡大され、運送、土木建築、医療機関などの民間事業者にも同法が適用されるでしょう。すでに、武器輸出が解禁され、日本も死の商人の仲間入りしつつあります。つまり、命を奪う戦争に加担・協力させられることが強く懸念されています。戦後の安全保障に対する国の考え方を根本的に覆す内容です。

 第二次世界大戦は、全世界で数千万人の犠牲者を出しました。悲惨で愚かな戦争への反省に立ち、戦後日本は平和国家への道を歩んできました。その結果日本は、戦争により他国民を殺傷したこと、戦闘により自衛隊員が亡くなったことは一度もありません。また、日本政府は、強制的に民間人を戦争へ動員しませんでした。平和国家として貫いてきたこの姿勢を今後も堅持し、積極的に海外へアピールしていくことこそ、世界平和への貢献であると考えます。

 米国ではイラク・アフガニスタン帰還兵の約半数が心的外傷に苦しんでおり、いまなお年間8,000人もの自殺者を出しています。日本でも「インド洋の給油活動とイラク復興支援活動」から帰還した自衛隊員が、既に56人も自殺しています(6月5日政府答弁書)。

 私たちは人々の身体と精神を守る医師の集団として、戦争につながり、人々を戦争に動員する恐れのある、強行採決された「平和安全法制整備法」及びそれにより行われる自衛隊法等10法の「改正」と「国際平和支援法」の廃止を求めます。

以上

「平和安全法制整備法案」と「国際平和支援法案」の採決強行に強く抗議し、 これらの廃止を求めます[PDF:114KB]