公開日 2013年07月25日
客観的な検査データ等に基づいた病態等が確認できる詳細な説明が必要
全国保険医団体連合会は支払基金本部との懇談を6月6日に実施した。この中で基金本部は、「再審査請求された場合に、その理由が病名漏れであることにより再審査請求そのものを受け付けないということはしない」ことを明らかにした。
今回の基金本部の見解は、雑誌「医事新報」2013年5月4日号掲載の記事のなかにも記述されている。記事のなかで基金本部は医療機関からの病名漏れを理由とする再審査請求について、「保険医療機関からの『病名漏れ』を理由とする再審査請求については、症状の経過等について保険医療機関から客観的な検査データ等に基づいた詳細な説明がなされ、病態等が確認できる場合であっては、これを参考に再審査決定することとしています」との見解を示した。
今回の基金本部との懇談を通じて、病名漏れに対する再審査請求申し出についての審査が行われていることを協会は改めて確認した。これを受けて、支払基金東京支部に確認したところ、「本件に関しては、従来から基金本部が述べたとおりの対応を取っているが、これは、相応の理由があってできるものと理解している。単に病名を漏らしたというような、客観的な検査データ等を添付したとしても病名漏れの根拠を説明できない症例については再審査請求をご遠慮願いたい。支払基金はレセプトが漏れなく正しく作成されていることを前提に審査し、その結果を受けて保険者は支払いをしている」と語った。
支払基金東京支部においても、病名漏れレセプトについて、傷病名の診断がついたという根拠となる客観的な検査データ等に基づいた詳細な説明がなされ、病態等が確認できる場合には、その内容によっては減点された点数が復活されることもある。
協会審査対策委員会は「客観的な検査データ等を添付したからといって、病名漏れに係る全ての再審査請求事例が復活されるものではない。『病名』の重要性を再認識願いたい」と注意をよびかけている。
今後「病名漏れ」は再審査請求で対応を
浜野 博
(東京保険医協会 審査対策委員長)
以前より基金東京支部、東京都国保連合はともに「病名漏れ」を理由にした再審査請求について、実質的に審査はせず門前払いの状態であった。
しかし、「病名漏れ」とはいえ、診療行為が行われていれば診療報酬の請求権は法的に存在し、審査支払機関側に再審査申し出を拒否する法的根拠はないことから、協会は「病名漏れ」の減点に対する再審査申し出拒否をやめ、これを受け付け審査するよう求めてきた。
今年6月6日の保団連と支払基金本部との懇談で「病名漏れ」を理由にした減点に対する再審査請求について、「客観的な検査データ等に基づいた、詳細な説明がなされ、病態等が確認できる場合に当たってはこれを参考に再審査決定する」との回答を得て、基金東京支部も同じ対応をとるとの返事があった。
個別指導時の録音、弁護士帯同を認めさせた成果に次ぐ、協会の長年の運動が実を結んだ快挙といえよう。
これからは、病名漏れによる減点を実際に復活させ、その実績を重ねていく活動が重要となる。そして、再審査請求の際に必要とされる「病態等が確認できる詳細な説明」についても、どの程度の内容が求められるのか、できるだけ多くの事例を集め研究していく必要がある。
今後は、東京都国保連合会にも同様の取扱いを求めていきたい。病名漏れによる減点については泣き寝入りせず、ぜひ協会を通じて再審査請求をしていただき、その結果についてもご報告をお願いしたい。
(『東京保険医新聞』2013年7月25日号掲載)