保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

【主張】東京の「明」と「暗」を見据えて

公開日 2016年12月25日

 残りわずかの2016年、協会活動について季節ごとのトピックスを振り返ってみた。

冬:診療報酬改定

 小児かかりつけ診療料、認知症地域包括診療料のほか歯科や薬局にも「かかりつけ」機能が算定要件に盛り込まれた。病院・診療所機能を割り振り2025年への道筋を定めた印象である。また、向精神薬の多剤投与や維持期リハビリテーションは減算のみならず、より一層算定要件が複雑化した。

 協会では会員向けに改定ポイントをまとめたテキストを編集し、講習会を開催したが、何度検討しても解釈困難な内容が極めて多かった。

春:熊本大震災

 協会からは熊本県保険医協会へ50万円、大分県保険医協会へ10万円を義援金として送った。熊本協会が8月の時点で、全壊・半壊の44医療機関をはじめ851件の被災会員に見舞金を支給したことを併せてご報告する。

 さらには東日本大震災の際と同様、ボランティアへの破傷風ワクチンの無料接種を会員医療機関で実施し、今回は34人が利用した。会員のご協力にこの場を借りて御礼申しあげる。

 また、2012年から毎年、サルビア会・就労環境部は市民講座「3.11を忘れずに向き合っていくために」を開催している。東京が被災したらどうなるか、今後もつづく課題である。

夏:東京都の情勢

 協会は毎年、東京都知事宛に来年度の都予算等に関する請願書を提出し、これに基づき9月に都福祉保健局と懇談している。①ワクチン接種を逃した方々への助成と周知、②「地域医療構想」による基準病床数の急激な増減が懸念されるため、各地域の「調整会議」での中小病院・有床診療所等の意見の汲み上げ、③障がい者対応:世界水準にならったバリアフリーや雇用・就学支援と、無自覚にある差別の根本的解消、④高齢者の住まいの確保、⑤アスベスト等公害対策等を訴えた。

 新たな話題として、医療費助成制度の申請手続きにかかる個人番号記入について、やむを得ず空欄で提出した場合にも不利益な取り扱いを受けない旨を要請した。ちょうどこの時期は都知事選もメディアを賑わせた。

秋:高額薬価に対する活動

 保団連は、高すぎるオプジーボの価格について緊急の薬価改定を厚労省に要望した。本件は各紙で報道され、経済財政諮問会議や中医協総会を経て、オプジーボの薬価を来年2月から50%引き下げることが決まった。トランプ氏のTPP関連発言が話題であるが、TPP発動下ではバイオ医薬品の新薬について、特許期間が切れた場合でも最低8年のデータ保護期間により薬価が高止まりする可能性がある。東京協会としては医療福祉面からTPPには反対していく立場だ。

   * * *

 他の話題からも常に東京の二面性が感じ取れる。グローバル化の一方で個人が生きにくい(「保育園落ちた」のつぶやき、過労自死など)「暗」。そして、地方(とりわけ5年たっても復興がすすまない東日本の各地)はカーテンの向こう側で、オリンピックや都知事選など東京ばかりが脚光を浴びるという見かけ上の「明」。

 暗の中の課題に取り組み、明の奥の問題を発見することが今後の協会活動に求められる。

(『東京保険医新聞』2016年12月25日号掲載)

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