【社保情報】ヘリコバクター・ピロリ除菌治療の保険診療における取り扱いの留意点

公開日 2013年04月15日

 2013年3月28日付で事務連絡「疑義解釈資料の送付について(その13)」においてヘリコバクター・ピロリ除菌治療に関するQ&Aが出され、『東京保険医新聞』4月5日号にも掲載したところです。それに先立ち、東京保険医協会は2月に追加された胃炎等のヘリコバクター・ピロリ除菌治療の保険診療における取り扱いの考え方について厚労省に確認しました。確認事項を掲載するとともに「疑義解釈資料の送付について(その13)・抜粋」を併せて再掲します。

 厚労省のヘリコバクター除菌治療(検査・除菌療法)の適応範囲の追加は、除菌に使う薬剤の適応に追加された「内視鏡で確認した胃炎」の範囲とされています。したがって今回保険診療扱いに追加されたのは「内視鏡で確認した胃炎」に限定されるとのことです。この考え方に基づく厚労省の回答(要旨)は次の通りです。

Q1.内視鏡の所見、結果はどの程度診療報酬明細書(以下、レセプト)に書くのか、例示してほしい。

A.レセプトの摘要欄には、以下の2点を簡潔に記載してもらうことを想定している。

(1) 内視鏡検査を実施したこと。
(2) 内視鏡検査の結果、胃炎と判断した根拠(内視鏡検査の結果、発赤を認めた、萎縮していた、出血したあとが認められた、等々)。 なお、明細書に内視鏡検査の画像を添付する必要はない。

Q2.他施設で健診、または診断されている場合、健診結果等の文書確認が必要か。また内視鏡を行った施設名、日時はレセプトに記載する必要があるか。
A.確認が必要である。後段は「Q1」の回答を参照。
Q3.X-Pの造影検査で慢性胃炎と診断されている場合、保険診療で除菌してよいか。
A.不可である。「内視鏡検査において胃炎の確定診断がなされた患者」のみが追加された。
Q4.胃がんリスク検診(ABC検診)の結果、B群~C群と判定された者は、ピロリ菌に感染して胃粘膜に萎縮のある胃炎の患者である。この患者に内視鏡検査なしでピロリ除菌療法をした場合、保険請求は可能か。
A.不可である。「内視鏡検査で胃炎の確定診断がなされた患者」のみが追加された。

2013年3月28日付・事務連絡 「疑義解釈資料の送付について(その13)」抜粋

ヘリコバクター・ピロリ除菌治療について

問4 ヘリコバクター・ピロリ感染の除菌治療について、その対象患者が新たに追加されたが、実施に当たってはどのような要件を満たす必要があるのか。
答 新たな対象患者は、①内視鏡検査によって胃炎の確定診断がなされたもので、ヘリコバクター・ピロリ感染が疑われるものに対して、②除菌前の感染診断により、ヘリコバクター・ピロリ陽性であることが確認されたものに限られる。 なお、除菌の実施においては、薬事法承認事項に従い適切に行うこと。
問5 抗菌薬が胃炎に適用拡大される前(2013年2月21日より前)に、胃炎と診断されている患者に対して除菌治療ができるのか。

答 内視鏡検査にて胃炎が診断されている者で、かつヘリコバクター・ピロリ 陽性が確認されている患者に限る。診断時の内視鏡検査の所見を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

 なお、2013年2月21日より前に自由診療により行った除菌治療については保険診療の適用とはならないが、2013年2月21日以降に実施した除菌判定等に係る費用については、保険診療の適用となる。

問6 健康診断で行った内視鏡検査で胃炎が見つかった患者も除菌治療の対象となるのか。
答 対象となる。また、健康診断で行った内視鏡検査で胃炎が見つかり、引き続除菌治療を行った場合の患者の費用の支払いについては、健康診断の費用として支払われる額と保険請求する額が重複することのないよう、2003年7月30日付事務連絡「健康診断時及び予防接種の費用について」に基づき行うこと。

(『東京保険医新聞』2013年4月15日号掲載)

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