保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

受診抑制が狙いの老人定率負担

公開日 2000年10月25日

衆議院解散で廃案となった健保法等改定案が国会に再提出された。政府は、来年1月1日施行を目指して今臨時国会での成立を図ろうとしている。

今回の改定案では、高齢者の患者負担を原則一割とし、1.診療所の場合は1割負担で上限3000円(院外処方の場合は、医療機関と薬局で、それぞれ上限1500円)または、一回800円×4回まで徴収の選択制とする2.200床以上の病院は一割負担で上限5000円などとなっている。院内投薬か院外処方か、定額選択か定率選択か、診療所か病院かなどによって病医院と調剤薬局で患者負担の在り方、金額が異なってくる。患者側からみれば、とても分りづらい仕組みであり、医療機関側は事務負担が増える仕組みになっている。しかし、定額か定率のどちらを選択するにせよ、1.3~1.5倍の負担増となる。

1997年9月の健保法改定による健保本人2割負担導入で、大幅に負担が増加し、受診回数の減少による医療費の抑制をもたらした。健保本人では、受診率、1人当り医療費がともに大幅に抑制されており、3年経った現在でも、1997年9月時点の数値まで回復していないほどである。介護保険施行後に至っては、利用料1割負担のために十分な介護が受けられず、利用限度額の5割程度しか使えない高齢者が多い。もし老人医療が1割負担になれば、介護保険に見られるように、利用を手控え、重症化する高齢者が増えることが危惧される。

老人医療の1割負担については、政府、マスコミの主張により、1割程度の負担なら仕方ないのではないか等の考えが国民の中にある程度浸透している。その反面、介護保険での保険料半額徴収や利用料の1割負担に苦しんでいる高齢者をマスコミは取り上げるという矛盾した状況になっている。

現場の医師からは、「国保保険料の滞納者が増えている。保険料値上げなどで、財政運営の方法の悪さを市民に転化している。東京都の医療費助成制度の切捨てに続いて、マル老も改悪されれば、低所得者への影響は計り知れない」等の声が、保険医協会に寄せられている。

協会では、保団連と共に反対運動を進めており、会員の先生方にも往復はがきによる「医師の請願署名」でご協力いただいているところだ。

臨時国会は、12月1日に閉会するため、短期決戦になっており、改正案を廃案に持ち込める可能性は十分にある。引き続き運動を続けていくことが重要である(請願ハガキを未提出の会員は大至急ご署名の上、ご返送下さい)。

東京保険医新聞2000年10月25日号より