保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

薬剤効能と保険適用―アスピリンの効能追加から―

公開日 2000年11月15日

開発から百年の歴史を持つ解熱鎮痛剤「アスピリン」が、狭心症や脳梗塞などの再発を予防する薬として今年中にも保険適用される見とおしとなった。

欧米では、アスピリンの血栓抑制効果を確かめる臨床試験が行われ、米国は2年前に効能を追加した。日本では海外の情報をもとに今までは、保険診療で例外的に「アスピリン」が使用されてきた。そのために関係学会が厚生省に正式な効能追加を要望してきた。

介護保険が施行されましたが、老人保健施設や療養型病床群の整備率は極めて低い現状にあります。また、通所リハビリテーション、医療ショートステイ、グループホームなどの整備の遅れは、在宅介護・医療を支える上で致命的な状況となっています。これらを打開し、在宅医療・介護・福祉の体制を強化する施策が求められます。

「アスピリン」は、バイエルの製品として世界80カ国で解熱鎮痛剤として広く使用されているが、1960年代後半から1970年代前半にかけて血小板の凝集を抑え、血栓ができるのを抑制する作用があることが明らかになり、国内では海外の報告をもとに、脳梗塞や狭心症を起こした患者に再発予防として広く使用されるようになった。しかし、再発予防効果を科学的に証明するには、長期間にわたって多数の患者を対象に臨床試験を行わなければならない。このため、ここ数年、製造原価が薬価を上回る逆転現象さえ生れている同剤に対して、製薬会社は「採算に合わない」として、新たな効能効果を追加するための臨床試験に取り組まなかった経緯がある。

厚生省には薬価を決める基準があり、それがR幅である。今年5%から2%に引き下げられたが、この薬価制度にのって、薬価改定のたびに薬価が下がることになっている。3年前のことであるが、ラボナールの場合もその制度にのって薬価が製造原価を割ることになった。そのために製造を続けることが困難になり、製造中止の運命にあった。厚生省はやむを得ないとの見解であったが、ラボナールは産婦人科の医師を中心に汎用された薬であったため、こぞって反対し、製造中止を免れた経緯がある。しかし、会社にとっては現在でも採算割れという。

今まで日本の薬価が高すぎる原因はどこにあるのかは論議されてきたが、治療上、有用でありながら消えていった薬があったということ、医学的見地から長年使い慣れてきた薬が使用できなくなるということは、薬価問題を超えて、医療にとって大きなマイナスである。

京都府保険医協会が2000年5月に発表した『医療制度改革への保険医からの提言』では、薬剤供給制度について「国際的に通用する評価方法により承認するだけでなく、「問題薬」の取り消しを前提に薬効再評価を推進しなければならない。一方で、有用性が確立しながらも改定毎に薬価が引き下げられ、採算割れで製造中止にされる薬剤もある。こうした薬剤を保護するシステムも必要である」と述べている。

厚生省は、国民が本当に必要としている薬を適正価格で供給することを真剣に考えているとは思えない。今後、医薬品問題に対して、保険医からも声を大にして主張することがますます重要になってくるであろう。

東京保険医新聞2000年11月15日号より