保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

医療保険改悪は、消費不況をさらに助長する

公開日 2001年01月25日

今年もどうやら景気の低迷が続きそうだ。テレビでは、財界人や閣僚、経済評論家たちが、景気浮上策をまくし立てている。IT革命だ、住宅減税だ、住宅取得の贈与税減税だ、物価は下がって実質賃金は増えている。だから庶民は財布の紐を緩めて景気をよくしてくれ、という。しかし先行き不安から個人の金融資産は増えて、買い控えの消費不況は続いている。

この消費不況は、3年前の96年4月の消費税アップ、9月の薬剤負担導入と健保本人2割負担の導入にあったと考える。政府はこのことを重視せずにさまざまな景気対策のために財政出動を行ったが、その結果は、逆に膨大な赤字国債を抱えただけで、景気は浮上せず、失業者は増えつづけることになった。数兆円の景気浮上策に比べれば、わずか数千億円なのに、医療への公費支出を削減という財政構造改革をして、かえって将来不安に火をつけ、国民の消費マインドを萎えさせて未曾有の消費不況を招いたといえよう。

昨年、堺屋経企庁長官は、一生懸命景気浮上の財政出動をしたので来年こそは緩やかですが景気は良くなりますと言った。しかし、この1月から高齢者の健康不安をさらに募らせる定額負担増、定率負担の導入という医療保険の改悪を行った。この失政がさらなる景気悪化、失業者増を引き起こさないと誰が言えよう。

今回の健保改定では、その成立から実施までの周知期間が年末年始休暇をはさみ1か月という短さであり、現場が混乱した。改定健保法の周知期間について見てみよう。66年8月の健保特例法は、同月より保険料率引上げ、9月初診・入院時負担金の倍増、10月薬剤負担金実施という周知期間がないまま実施された最悪のケースであったが、これは2年間で廃止になった。86年12月の老人保健法「改正」(1部負担金の改定、拠出金算定方法の改定、老人保健施設の創設)は翌月実施であった。国民に厳しい負担を求める改定で、今回と同程度に短い周知期間は、61年の国民皆保険以来この2件だけであり、ほとんどの場合に3~6か月の周知期間を設けていた。その意味でも今回の改悪は現場を無視した強権的で異常なものである。

国民の健康不安を無くし、不況を克服するには、国のこのような失政を国民の幅広い連帯で追及して行く以外に道はなさそうだ。

東京保険医新聞2001年1月25日号より