保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

介護保険施行1年 国民の期待に応えているか

公開日 2001年04月25日

介護保険が実施されてから1年が経過した。

公的介護保険と名付けられ、国民の多大の期待を集めて発足した制度ではあったが、実質は「措置」から「契約」への大転換で、しかも拙速に行われたために、現場はかなり混乱した。

主要な問題点をあげると、先ず要介護認定では「痴呆者が低目にでる」という点が明白になつた。判定方法の見直しとともに、痴呆者介護のあり方を更に検討していく必要があろう。次にケアプラン作成など、「ケアマネージャーの業務が過大」であり、そのうえに給付管理業務まで加わって、本来の業務を阻害している。しかも国保連合会の「請求処理がスムースにいかず」、未支払いがかなり発生した。一方、訪問介護は当初、身体介護と家事援助のみであったが、直前になって身体介護より「3割安い複合型」が導入され、現場を混乱させた。おそらく医療制度抜本改悪をひかえて、未整備のままの早急な導入が、これらの混乱を引き起こしたのであろう。

要介護認定には、ケアマネージャーとともに、医師も苦労して主治医意見書を作成したが、結局「利用率は約40%」であった。厳しい世相の中で1割の自己負担は重く、家族介護に依存して節約しようという心情の現れだろう。予測通りだとする当局者もおられるが、これから家族制度が壊れ、独居老人が増える中で、なおしっかりした対応が必要となろう。一方、介護度の限度を越えても介護が必要な利用者は、かなり有料ヘルパーに頼っている現実も生まれている。

施設整備の遅れもある。「特別養護老人ホーム」も、これからは自分で選択して入る時代だといわれながら、いまだに空床待ちが続いている。療養型病床群も目標に達していない。

さらに「介護保険料の問題」がある。スタートした昨年4月から徴収の予定であった保険料は、10月から半額、本年10月から全額徴収となった。不況の影響で、国保の滞納者が増えているが、さらなる負担に耐えきれない層に対する対応が必要となろう。

発足してからの短い経験ではあるが、より良いものにするために、特に低所得者の保険料、利用料の減免、介護報酬のアップ、統1化、痴呆に関する諸対応、その他、上記が必要と思われる。

介護保険は、国からのコントロールがあるにせよ、主体は自治体である。まず地域から声を出していきたい。またわれわれとしては、医療と介護の接点を広げていくことも、これからの課題である。

東京保険医新聞2001年4月25日号より