保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

国保 資格証明書発行の問題点

公開日 2001年09月05日

本年4月1日より、特別なケースを除き、国保料を1年以上滞納した世帯の国保証を取り上げ「資格証明書」を交付することが「義務化」された。

58年に発足した国民健康保険法は、61年に全国の市町村で実施され、国民皆保険制度の原動力となったのだが、83年には国庫補助率の削減、86年には資格証明書の発行が「できる」という省令の制定、88年には医療費抑制と収納率向上を狙つた国保安定化計画、さらに99年には、3カ月、6カ月の「短期保険証」の発行が省令で定められた。

もともと国保は、自営業者を中心に構成され、国庫補助を含めて運営されているが、83年より補助率を45%から38%に削減され国保料が上昇したうえ、近年は不況による所得の低下があり、さらに失業による無職・低所得者の流入のため滞納者が年々増加している。ことに95年頃から、その傾向は著しい。昨年6月の調査では、全国の国保加入者2300万世帯のうち、滞納世帯は370万世帯(17.7%)で、このまま進むと更なる国保料の増額、滞納世帯の増加という悪性サイクルにおちいって、国保制度は崩壊しかねない。さらに10月からは、介護保険料全額徴収という負担が重なり、状況は益々深刻になると思われる。

国保中央会・滞納問題検討会では滞納者を「負担能力の低下」と「納付意識の低下」に大別し、「短期保険証」「資格証明書」で問題を解決しようとしている。昨年6月の発表では、短期保険証交付率10.8%(東京・5.9%)、資格証明書交付率2.6%(東京・0%)である。法改定までの制裁措置は短期保険証交付が主であったが、これからはより強烈な資格証明書という武器が主力になり被適用者の増加が予想される。

資格証明書を交付された場合、受診者は医療機関で診察料の10割を支払い、保険者から7割を償還してもらう仕組みだから、当然受診率の大幅な低下、疾病の重症化を招きかねない。本年4月、中央社保協と厚労省との交渉では滞納を理由とした一律の保険証取り上げは不適切、資格証明書はあくまで「悪質滞納者」に交付するとの見解が示されたが、現場での対応は予断を許さない。資格証明書交付義務化の法改定成立後、例えば京都では交付数が98年の435件に比べ、2000年には2284件と5.3倍に増加している。

問題は、払いきれない高額の保険料(所得に対する保険料負担率=98年度平均8.6%)であり殊に低所得者に負担が重いこと、国保料の減免制度が不十分であることなどで、これを改善するには国庫補助を45%に戻すことをはじめ、自治体でのきめの細かな対応が必要である。

保団連では、憲法第25条に反し、国民皆保険制度の崩壊にもつながりかねない資格証明書問題に対して「国保がたいへん、患者が医療から遠ざけられる」という、国保の実態と改善の方策、医療機関の対応に関するパンフを発行した。大変的確な内容であり、これを踏まえて今後の運動に取り組みたい。

東京保険医新聞2001年9月5日号より