保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

株式会社の参入はどこが問題か

公開日 2001年10月15日

医療は生命・健康に直接かかわる公共性を持ったサービスであり、それゆえに医療の非営利原則が貫かれ、医療法でも株式会社の参入は禁じられている。しかし2001年3月に閣議决定された規制改革推進3カ年計画で、規制緩和による営利企業の医療機関参入が提起され、われわれにとっても避けて通れない問題となった。

ちなみに、日経ヘルスケアのアンケートでは、27%の開業医が解禁してもよいと回答している。その理由は1.競争原理によるサービス向上2.営利企業のノウハウによる経営レベルのアップ3.現在でも営利企業がオーナーの医療機関は少なからずある、などである。

一方、63.8%の反対派の回答は、1.営利企業は採算性の高い医療だけを手掛ける可能性が高い2.利益追求のため過剰診療につながりやすい3.競合の激化による経営環境の悪化、などをあげている。

営利企業の医療参入の目的は2つある。ひとつは80年代、高度成長期が過ぎて、内需拡大が叫ばれ、その産業政策として財界を中心に医療にあつい期待が寄せられていること。もうひとつは国が医療費抑制に有効だとして推進していることである。

営利企業の参入は、すでに外注その他の形態で、じわじわと始まっているが、もし、規制緩和が本格的に進み、営利企業が公然と参入した場合、どうなるのか。01年4月の保団連全国共同調査(医師、患者のアンケート)では、「市場原理の導入に対するイメージ」は、1.効率追求、医療ミス多発2.低所得者が不遇を受ける3.都市部集中、地域格差の増大4.医師の大病院集中があげられ、プラス面としては、1.競争によるサービスの向上2.医療費が安くなる、が医師、患者ほぼ同数であげられている。

もともと医療に市場原理の導入の圧力は、医療外からであって、それだけにわれわれにとって、問題点も多い。まず規制緩和による医療の市場化は、「事前的規制から事後チェックヘ」となる。問題が起きたとき、問われるのは提供者を選択した利用者となり、行政は後に引いてしまうという構図が考えられる。また効率化は、対人サービスの面が大きい医療では利益拡大のためには、人件費の削減にかかってくるが、この時いろいろな問題が発生してくる。さらにサービス競争では、混合診療のような自己負担が追求され、低所得者は差別される。不採算医療からの安易な撤退もある。

大企業が大規模の医療チェーンをつくったり、医療、介護、保健を含んだ複合体を形成したとき、いまの第一線医療はどうなるのかも討議の対象となる。その他アンケートに記されたような諸問題があろう。また参入肯定でもアメリカ型医療を望んでいる方は少ないと考える。

いま医療は非営利との原則論だけに安住していられる時代では無い。現在の制度に問題点があれば克服する努力を怠るべきでは無い。また非営利原則を守り抜くためには、医療は人権保障の主要な構成部分だということ、住民と共にあるべきだということを、再度認識しておく必要があろう。

東京保険医新聞2001年10月15日号より