保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

財政構造の転換で医療制度の充実を

公開日 2001年10月25日

小泉「改革断行」の筆頭は、まず医療、ついで福祉、教育といわれてきた。いま年末の2002年度予算編成に向けて「医療改革」作業が急がれているところだ。厚生労働省は9月25日、医療制度改革試案を発表、これを受けて9月28日、社会保障審議会医療保険部会が開かれ、また10月4日には財務省主計局が厚労省案では不充分として更に厳しい独自の見解を出した。関連して9月26日に開かれた中央社会保険医療協議会(中医協)は厚労省の諮問を受け、長期入院見直し案が出されるなど慌ただしいほどの動きだ。

これらの案を見てみよう。まず厚労省。主な中味は別表に挙げた通りだが、これの作成にあたって特異なのは、従前と違って関係諸団体の意見を全く聞くことなく作られたことだ。しゃにむに何がなんでもやる、といった感じだ。

一方、財務省は厚労省案では不充分として、老人だけでなく若人の医療費の伸び率にも管理制を設け、また目標値超過の場合の措置は次年度の診療報酬単価に速やかに反映させ、引き下げる、としている。

中医協に示された長期入院については、難病患者など医学的に必要な長期入院者を除き、ベッド代、食事療養費、看護料などを医療保険の対象から外すというもの。これらの案は政府・与党の社会保障改革協議会や与党の部会・調査会、社会保障審議会などを経て12月に政府・与党案としてまとめられ、02年1月の通常国会に提案、審議の予定である。

これらの案について各界の反応を見ると、驚きや批判が多い。与党の中からでさえ「患者負担がえらい増えているなあ」(塩川財務相)「国会論議を乗り切っていけるか心配だ」(斉藤十朗・前参議院議長)等の声が上がっている。

小泉「改革断行」は最も抵抗勢力の弱い医療・福祉の分野から開始されるようだ。ここで医療財源について考えてみよう。

医療保険の財政危機の主要因は、国庫負担率を減らしたことにある。これを元に戻せば、国民医療費を30兆円として1兆8600億円の財源が生じる。また、異常に高い日本の薬価構造にメスを入れれば、少なくとも2兆円の医療費を生み出せる。健保組合については、好況時に積み立ててきた残高3兆1552億円を不況の時にこそ活用すべきである。

東京保険医新聞2001年10月25日号より