保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

無謀な長期入院患者の保険外し

公開日 2001年11月25日

9月26日に中医協診療報酬基本問題小委員会に出された長期入院の医療保険外しの案は、医療保険適用の療養病床に長期入院している患者さんの自己負担を大幅に増やすことによって、医療保険での入院が続けられなくしてしまうという今までにない手法で、いわゆる「社会的入院」を無くそうとするもので、まったく実情を無視した乱暴なものである。

厚生労働省は医療保険適用の療養型病床が介護保険適用に転換すれば問題が解決すると考えているようだが、それを患者さんの負担増で行おうという発想は大きな問題を引き起こすに違いない。特に東京都のように区部での療養型病床そのものが圧倒的に不足しているような地域では、医療保険適用の療養型病床は急性期病院退院後の医療必要度の高い入院患者さんの受け皿として無くてはならない役目を果たしているし、今後もその必要性は大きなものがある。しかもその多くは百床未満の小病院であり、一病棟しか持たない病院も多いのである。

このような病院は、急性期病院でまだ病状が安定したとは言えず要介護認定も受けていないような患者さんを受け入れていかなければならない。そのような患者さんの中には6カ月たったからといって自宅への退院ができない患者さんが少なくない。介護保険の施設に移そうにも、それは区部では非常に不足していて、今まで生活していた地域から速い多摩地区や他県に求めなければならない例が多い。このような病院が介護保険に転換することは困難である。

医療保険のままでいれば患者さんは多額の自己負担をしなければならなくなるため、6カ月超の入院は事実上不可能になる。自己負担増にならないように介護保険に転換してしまえば、急性期病院からの退院が大変困難になる。

一方多摩地区では、療養型病床の数が介護保険適用病床の整備目標よりも多くなっていて、介護保険に転換することが自治体から認められなくなる場合も想定される。これは、区部等の必要に応えてきた歴史からこのような地域的偏在が現実にある。ここでも患者さんの意志に関わりなく6カ月以上超入院を自己負担しながら続けざるを得ない例が発生する。

必要病床数の算定にはこのような事情も考慮されてはいるが、基本的に問題が解決されているわけではなく、しかも介護保険の実施主体は区市町村であるから、全国レベルでの医療保険のあり方のしわ寄せを各地方自治体が、そして愚者さんが受けなくてはならないのではたまったものではない。

種々の問題が解決されない中で、患者さんに自己負担を押しつけるようなやりかたで「社会的入院」対策を進めることには絶対反対である。

東京保険医新聞2001年11月25日号より