保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

小泉医療構造改革にNOの声を

公開日 2002年03月15日

健保本人3割増が明記された医療制度改革関連法案が、ついに上程された。医療制度改革は、小泉首相の持論「三方一両損」がごり押しされた格好となった。その結果、医療機関は、史上初の診頼朝酬本体の引き下げとなり、国民は高齢者医療の負担増や、健保本人3割負担への引き上げ、政管健保においては保険料率の引き上げと総報酬制が盛り込まれ、実質的な保険料引き上げだ。

3割負担も、単なる引き上げではなく、「将来にわたり維持するもの」と明記されている。多くのマスメディアの怠慢により、ほとんど報道されておらず、国民には真相が知らされていない。

診療報酬改定にも、幾多の問題がある。マイナス2.7%という数字では決して済まされない。実際に試算をしてみると、在宅や整形外科では収入が2割から3割減になる。特定療養費制度も対象が拡大される。180日超入院患者の入院基本料を特定寮養費化するなどは、まさに混合診療にほかならない。

診療報酬の引き下げにより、医療機関の経営が不安定になれば、医療側は歯科のように保険よりも混合診療や自由診療にシフトすることが危惧される。さまぎまな制限が加わり、患者が医療を受けづらくなれば、ますます医療側は悪者にされ、医療進出を目論む財界の思う壷になるだろう。民間企業に任せることで患者が安心して充分な医療を受けられるだろうか。経営がうまくいかなければ、企業が配当を出せるくらいサポートできるだろうか。できたとしても、患者負担と総医療費は今より増えることになる。これではますます皆保険制度は形骸化する。

医療費の伸びを国庫負担分で2800億円以内に抑えることに躍起になり、医療側を抵抗勢力とばかりに必要以上の負担を押し付けたが、これが今後の日本経済にいかなる悪影響を及ぼすかが問題だ。97年当時、橋本内閣において健保本人を1割から2割に引き上げたことによる受診減と、消費税の5%への引き上げ等による消費不況があり、結果として今日の経済情勢を引き起こしていることは、当会が再三再四、指摘している。

また、医療費への国庫負担を漸減したために、保険料収入に占める老人保健等拠出金の割合が約43%にもなっている。そして、健保組合東京連合会傘下の組合では、約9割の組合が赤字予算という異常事態を招いた国の責任は、計り知れない。

自己負担の引き上げと、診療報酬の引き下げが国民に痛みを押し付ける構造は、一般的にはわかりづらい。マスコミから得る情報では、医療側への批判が強まるばかりだ。

協会では、患者向け医療改革パンフを作成し、各地の会合へ講師を派遣し、患者さんに少しでも医療制度への理解を求める運動を進めている。

会員の先生方からは、将来への希望が朽ち果て、怒りをとおり越して、あきらめの声も協会に届いている。これ以上の医療改悪をやめさせ医療制度を改善させるために、より活発な運動を継続して進めていこうではないか。

東京保険医新聞2002年3月15日号より