保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

東京都は慢性肝炎、肝硬変・ヘパトームに対する医療費助成を存続すべきである

公開日 2002年03月25日

東京都は、慢性肝炎と肝硬変・ヘパトームを都難病患者医療費助成制度の対象疾病からはずし、本年10月以降、医療費の助成を止めようとしており、この疾患で助成を受けている3万1000人に不安と動揺、怒りが湧き起こっている。

都は経過措置として3年間、住民税非課税世帯に対しては通院・入院とも現行制度を適用し、ウイルス肝炎対策として入院のみを対象にした新たな助成制度を創設することにしているが、経過捨置の対象者は6200人、新たな入院助成制度の対象者はわずか4000人に過ぎない。

この疾患の治療は、インターフェロンなどを長期に投与するため非常に重い医療費負担が継続する。それもほとんどは通院治療で、入院は初期の短期間か、肝がんにまで進行した場合に限られており、通院医療費助成の廃止には全く道理がなく、お金のない人は治療が継続できないという深刻な事態を招くものである。それでなくてもここ5.6年、制度の認定基準が厳しくされており、認定をはずされた患者の悲惨な姿を目の当たりにしている医療者としては看過できない。

更に、都の難病認定に連動して基盤自治体から支給されている難病患者福祉手当(月1万円)も受けられなくなり、問題を深刻化させることになる。

慢性肝炎などは治療法が進歩したとはいえ、決め手となる治療法は確立しておらず、依然として難治性疾患である。患者は肝癌への進行を阻止するために必要な治療を受けており、この制度が無くなると、不景気のあおりもうけ受診をひかえ、疾病を重症化させてから医療機関に飛び込んで来るのは明らかだ。それは本人の健康を損なうばかりでなく結局、医療費が嵩むことになる。

わが国の肝炎ウイルスの患者は200万人から300万人ともいわれ、肝細胞ガン、肝硬変による死亡者は年間4万5000人といわれる深刻な事態になっている。そもそもウイルス肝炎は、戦後のヒロポンなどの覚醒剤の蔓延、輸血等の医療行為による感染が多く、医原病の側面が極めて強い疾病であり、肝炎対策を怠った団の責任は重大である。やっと、国は来年度から老人保健法による住民健診にC型肝炎ウイルス抗体検査をつけ加えた。その時に、都が難病患者医療費助成制度の対象から慢性肝炎と肝硬変・ヘパトームを対象疾病からはずすことは、社会の流れに逆行するものである。

制度を開始した1974年には、慢性肝炎300人、肝硬変・ヘパトーム219人であったが、その後、認定患者は増加し、2001年8月末で慢性肝炎2万4871人、肝硬変・ヘパトーム6455人となっている。人口比から単純に推計すると、都内の肝炎ウイルスの患者は20万人から30万人とされており、今こそ制度をさらに充実させ患者を救済することが求められている。

東京保険医新聞2002年3月25日号より