保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

今次国会を振り返って

公開日 2002年08月25日

小泉首相が政権を担って1年余。

「まったなし」とばかりに、与党は健康保険法関連法を強行採決し、成立させてしまった。国会での審議は実に不十分なものであった。衆参両院の厚生労働委員会では審議を半ばにして強行採決し、参院本会議で与党単独採決という異例尽くし。国民の声をないがしろにした90余時間(衆参両院委員会)の審議であった。

昨秋の臨時国会では、協会や医師会、多くの国民がこれまでにない大運動を展開し、この「改悪法」の上程を阻止した。今回の通常国会で3月に提出されてからも、反対運動の勢いはとどまることを知らず、各種世論調査ではついに、反対の国民の声は約6割となった。過去最高の署名数(約2700万筆)が、その証左である。

この間、医療制度改革について地域で学習・集会を開催したいという問い合わせが、協会に多数寄せられた。協会事務局員がその講師に赴くこともあり、医療制度への関心は高かった。医療側と患者側が運動を進め、地域での運動を高揚させ、与党を会期延長や、法案を衆参両厚生労働委員会で強行採決せぎるを得ない状況に追い込んだことは、成果に値するといっても過言ではなかろう。

今後、医療保険制度に加え、診療報酬制度改善についても国民の理解を得て運動につなげていく必要がある。患者負担増が医療機関の収入増になるという誤解、再診料等の逓減制による窓口での会計不信といった、患者・国民から誤解を招きかねない「改悪」になっているからだ。

「改悪法」が成立したからといって、医療制度改革が終わったわけではない。「平成19年までは保険料・自己負担の引き上げはしない」と坂口厚労大臣は答弁しているものの、「改悪(案)」は後を絶たない。

全ての高齢者から医療保険料を徴収する高齢者医療制度の創設、医療保険の統合(政管健保の民営化)が今年度中に具体化されようとしている。さらに、病院経営への株式会社参入や混合診療の導入、保険者による直接審査・支払、医療機関との直接契約など国民皆保険制度を形骸化させる「抜本改革」が控えている。

来年度予算概算要求基準においても、社会保障関係費の削減(約3千~9千億円)が明示されている。社会保障を切り詰めては国民に不安を与え、実体経済へのマイナスの影響が懸念される、先行きは暗くなるばかりである。

これ以上の改悪に終止符を打つためにも、運動の継続が必要である。改悪された制度の問題点や矛盾点は消えることなく、今後も追及していかなければならない。協会は引き続き運動していく。

東京保険医新聞2002年8月25日号より