保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

医薬品医療機器総合機構は機能するのか

公開日 2003年02月15日

薬害エイズ事件をはじめとする種々の薬害を教訓として、旧厚生省薬務局の機構改革が行われたが、その間にも医薬品の安全性に関しては様々の問題が取り沙汰されてきた。ごく最近も、抗がん剤イレッサ(ゲフィニチフ)による副作用死の多発が社会問題となっている。

この薬剤は昨年7月に厚労省が世界に先駆けて承認し、わが国で販売されはじめたにもかかわらず、昨年末の時点で494例の副作用が報告され、うち124例が死亡している。また、輸入販売元のアストラゼネカ社は、こうした日本での副作用死と薬剤との因果関係を疑問視する見解を発表して物議をかもしている。

このような危険な実例が報道されているさなか、昨年12月13日には国会で医薬品の安全対策などを業務とする「医薬品医療機器総合機構」を独立行政法人として発足させることが議決された。当初この行政法人は製薬会社から人や資金の提供を受けるとされていたが、企業との癒着に発展しかねないそうした露骨な姿勢に対しては、さすがに「役職員の採用に際しては適切な措置を講じること」との付帯決議が採択された。

われわれは、この決議が今後正確に実施されることを、しっかりと見守ってゆく必要がある。そうでなければ、この独立行政法人は「独立」ならぬ製薬企業の「傀儡」と化してしまうだろう。

同じく、この付帯決議に盛り込まれた「現行の医薬品副作用被害救済制度を充実させること」も重要な項目である。これには薬害エイズ事件を教訓とする生物由来製品感染等被害救済制度の施行も当然含まれる。少なくとも現行のお粗末な副作用対策に終わることなく、抜本的な安全対策と救済制度の充実が強くのぞまれる。

また、医薬品や医療機器の審査関連業務が、それらの研究開発業務と明確に区分されて独立に機能する組織構成を作ることも重要である。この2つの業務は同機構に統合されるかたちをとっているが、本来厳格に分離されるべき性質のものであることに異論はないであろう。それが今後どういうかたちで実現してゆくのかについても監視の目を怠ってはならない。

画期的な新薬の開発には莫大な費用がかかるために、製薬メーカーの世界的レベルでの合併が行われつつあるが、その結果として巨大な製薬資本もすでに誕生している。行政は、そうした経済力をバックとするメーカー主導の営利姿勢に影響されることがあってはならない。そのためには医薬品・医療機器の審査・承認過程に対しても、一定の透明性・公開性がのぞまれる。それをどういうかたちで担保してゆくのか、機構が成立して発足したあとであっても、議論を積み重ねてゆく必要性を強く感じる。

東京保険医新聞2003年2月15日号より