保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

今次確定申告にあたって 国民への還元なくして誰のための税金か

公開日 2003年03月05日

健保3割負担の凍結をもとめ短期決戦の運動が展開されている中、今年も2月17日から確定申告の受付が始まった。年間の収入を嫌でも見直す時期である。

昨年は、4月から初の診療報酬マイナス改定、老人の負担を増加させた10月の健保法・老健法改定、外来総合診療料の廃止と、軒並み減収を誘引する政策ばかりが施行されたが、減収要因はこれだけではない。社保の編てつ一つとっても、これらのころころ変わる制度改定に事務量は膨大に増加し、従業員の残業代が増加した医院もある。支払基金は10月の確定額を前年の同じ月と比較して17・9%の減であると発表したが、収入は減る一方で経費は増加し、医療機関に与えた打撃の本当の数字は、今次確定申告の決算書で現れるところとなる。

会員からの声は、協会に寄せられただけでも切実で具体的だ。 「リハビリ逓減制の廃止を。電気代にもならない」、「逓減制は、医師の給与を下げても間に合わず、職員のリストラも行うことになる。このままでは運営できない」、「外総診は施行も廃止も突然だ。現場を知らないにもはどがある。即刻代替措置をとるべき」、「改定が煩雑で医療事務上混乱し、朝令暮改そのもの」、「10年間開業してきて今回は非常に経営に危機感を感じる。このままでは破綻する医院が多く出るだろう」。実際、医院の閉院も増加傾向にある。収入と見合わないところで、これはどの事務を執り行うことについての諦めが院長を襲うのだ。

このような中、さらに政府税制調査会は配偶者特別控除の廃止、消費税の免税点の1000万円への引き下げなど、国民や医院などの中小企業の所得を直撃する税制改革を検討している。消費税に関しては日本経済団体連合会が発表した、「活力と魅力溢れる日本めざして」(奥田ビジョン) でも税率の大幅な引き上げが提案されている。

消費税は導入時、福祉へその使い途が示されてい た。ところが今や、これだけ社会保障を切り捨てながら、さらに税率を引き上げようとしている。また、現行では名目上、保険診療に消費税は非課税だが、今後、自由診療分が1000万円を超えれば、医療機関も消費税を申告しなければならなくなる。しかも、保険診療は非課税といっても、薬品、材料などさまざまな仕入れの支払額には消費税がかかっているにもかかわらず、患者さんには転嫁できない現状は実質、非課税とは言えず、医院経営に大きな負担となっている。消費税率が引き上げられればその負担が増大することは明らかである。

報道ではアメリカがイラク攻撃を準備するにあたって、日本は5兆円の援助を検討しているなどと言われている。国民のいのちと日本の医療を切り捨てた分の税金を、政府は人を殺す戦争に使うのだろうか。

確定申告のこの時期に、私たちが納める税金の使い方を日本国憲法第25条を活かす方向にもっていってほしいと望みたい。

東京保険医新聞2003年3月5日号より