小泉首相の即時退陣を求める

公開日 2003年05月25日

小泉内閣が発足して2年が過ぎた。「改革なくして成長なし」と叫んで首相の座についたときの公約は沢山あった。国債発行の30兆円厳守、特殊法人改革、2ないし3年以内の不良債券処理、2004年の景気回復、1内閣1閣僚などなど。これらは殆どうまくいっていない。閣僚入れ替えはやったし、163あった法人は17廃止しただけ。国債発行は国債整理基金から2兆5,000億を出して一般会計に入れてしまったので事実上公約は反故同然だ。

最近、「ワンフレーズ・ワンポリテイクス」(3日政治)と呼ばれるなど、小泉氏の言葉に対する不信感が顕わになってきた。政策についての詳細な説明は避けて多くを語らず、すべて担当大臣に指示してあるといった責任回避的発言が多くなってきた。道路公団改革や北朝鮮外交でも然り、次第に政治家としての底の浅さが露呈してきた感じだ。

ところで小泉氏は医療改革についてはすこぶる詳細かつ多弁なのである。01年首相についた年の5月、参議院の委員会でつぎのようなことを言っている「病院では必要もないのに頭のてっペんから足の先まで検査をする。そして一度に沢山薬を出して随分無駄なことをしている」といった具合だ。まるで週刊誌なみの表現だ。これが厚生大臣を2度も務めた人の医療の現場に対する認識なのである。氏は88年から89年にかけてと、96年から98年にかけてと、計2回厚生大臣をやったが、この間に健康保険、介護保険などを手掛けている。詳しいのは当然なのだ。氏の担当時代の関連法改正を見てみよう。

97年9月、あの健保本人2割負担導入と外来の薬剤負担導入を決めるのはこのときだ。このときの影響はいまだに尾をひいている。このとき本人受診率は12・4%も落ちこみ、これはその後も回復しないままだ。介護保険法は97年12月に成立、00年4月に開始されたのは記憶に新しいところだ。ちなみに介護保険の導入で約7,000億円の医療費が減少している。

医療抜本改革についてはこれから本格的に論議されるわけだが、薬価制度、診療報酬体系、医瞭供給体系、高齢者医療制度などについて、それぞれの見際しが盛られている。医療や福祉関連の法改正「悪」にかかわった政策担当者の源流をさかのぼれば、そこに小泉純一郎氏がいつもいるというわけである。

国の財政を家庭の財政に例えて、金がなければ医療費を節約するのは当然だという政治家がいるが、心得違いも甚だしい。憲法25条では国民の健康、社会福祉、社会保障について、国がこれを守らねばならない義務がある。とはいっても財政が遍迫していてはそうはかりも言えないこと、その為には国の財政を建て直すさねはならないことを誰でも知っている。

頑固に財政出勤を抑えて不況をもたらし、企業や国民生活をどん底に陥れている最高責任者である小泉首相はもう辞めるべきだ。任期終了まで待たず、直ぐに退陣して欲しい

東京保険医新聞2003年5月25日号より