保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

必要な医療・福祉政策の充実 来年度都予算に対する協会の要求

公開日 2003年07月15日

わが国の経済不況は依然として出口が見えず、都民の生活はますます窮迫してきている。東京都が昨年11月に発表した『都民生活に関する世論調査』によると、暮らし向きが昨年に比べて「苦しくなった」が37%、これから1年間の暮らし向きについては、「苦しくなる」と答えた人が38%で、その理由は「営業不振などで給料や収益が増えない、または減った」が57%で最も多い。また、生活を切りつめていくためのものとして、被服費(42%)、外食費(38%)、食費(35%)などが挙げられている。都に対して特に力を入れて欲しい要望では、第1位「医轡衛生対策」50%、第2位「高齢者対策」46%、第3位が「環境対策」28%などが挙げられており、戦後未曾有といわれる不況の中で、医療・福祉の充実、将来不安の解消が都民の切実な要求となっている。

こうした都民の生活実態にもかかわらず、東京都は昨年、慢性肝炎、肝硬変・ヘパトームを都の難病医療費助成制度から切り離した。また、2006年度をもって全廃を計画しているマル福だけでなく、マル障などの都単独医療費助成制度の事業縮小などの施策を推し進めている。福祉10事業(老人医療費助成制度・マル福、ひとり親医療費助成制度・マル親、乳幼児医療費助成制度・マル乳、心身障害者医療費助成制度・マル障、シルバーパス、老人福祉手当、児童育成手当、重度心身障害者手当、心身障害者福祉手当、持養ホーム補助)の予算額推移を見ると、2003年度では1999年度と比べて2剖以上も削減された。さらに都は、地域の医療と保健活動に不可欠な都立病院や保健所の統廃合計画をすすめ、都立福祉施設の撤退、児童・障害者等の福祉施設への運営費補助減額、国民健康保険への補助削減など、全国に比して高い水準にあった諸事業を悉く縮小している。

各種手当、医療費助成の削減などの施策を進める東京都は、まさしく小泉内閣が進めている社会保障改悪の先陣役、旗振り役にはかならない。こうした医療・福祉の改悪は、石原都知事の提唱する「365日24時間の安心」「患者中心の医療」とは全く相反するものであると言わざるをえない。患者負担を軽減して、いつでも誰でも医療機関を受診できるようにするのが「患者中心の医船」であろう。

協会は都知事に対して「2004年度東京都予算等に関する請願」を掘出し、医療・福祉の充実が都政の最優先の課題であることを強く訴えた。都民の老後、健康に対する不安を解消させるためにも、老人、障害者(児)、ひとり親、難病患者、乳幼児などの医療費助成制度等、都民の医療を確保する施策の復活と拡充が望まれる。とりわけ、慢性肝炎、肝硬変、ヘパトームについては、長期療養とインターフェロンなどの高額薬剤による治療が必要であり、肝炎ウイルス感染の社会的背景からも、引き続き助成対象とすべきものである。また、がん、成人病等、都民の健康悪化を予防する上で欠かせない保健事業は、自治体での健診内容の向上のためにも、国・都の助成拡充が望まれる。さらに国際化が進む中で、SARSなど新興感染症への対策も緊急を要する課題だ。都心部に高層ビルを乱立させるような経済優先の都市再開発事業などは見直させて、都民が将来不安を覚えることがないような医療・福祉政策を実施するよう協会は東京都に強く訴えていく。

東京保険医新聞2003年7月15日号より