保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

小泉「改革」は長続きしない

公開日 2003年10月25日

総選挙が10月28日公示、11月9日投票で行われることになった。久々に2大政党時代の到来といった記事がマスコミを賑わしている。民主党をはじめ各党のマニフェスト花ざかりだ。

自民党も7項目からなる政権公約を発表した。それによると、思い切って経済を活性化させ06年度までに国内総生産(GDP)の名目2%成長を実現し、530万人の雇用創出プログラムを達成する。

社会保障については税と保険料あわせた国民負担率50%以内に維持して将来不安のない社会保障制度を作る、といった内容だ。まことに結構な内容だが、いまの現状はどうだろうか。

厚労省によると2002年には全国の自殺者が3万2143人、前年より3.5%増えている。自殺理由のトップが健康問題で1万4815人、2位が経済・生活問題の7940人で、前年より16%も増えている。自殺者は1998年を境に急増している。

この98年という年は政府が金融再生を旗印に、金融機関に早急な不良債券処理を要請したことから、銀行の貸し渋りや貸し剥がしが厳しくなった年である。

人口10万人当りの自殺者数24ないし26という日本の数字は世界一だ。この5年間の自殺者数16万1513人という人数は佐賀市や苫小牧市など中規模の都市の人口に匹敵するという恐るべき数字である。

長引く不況で国保制度は崩壊の危機に直面している。97年法改正により保険料未払者に対して資格証明書発行が義務づけられた(実施は00年4月)。この時の厚生大臣は誰あろう、いまの首相小泉氏なのである。ちなみにこの時は健保本人2割負担も導入された。

国保滞納者は急増し、02年11月の厚労省公表では全国保加入者2400万世帯中4012万世帯17%に上っている。介護保険料、医療費負担増で更にその数は増えているものと思われる。こうした多くの犠牲を払って小泉改革は一体日本をどういう形に作り変えようとしているのだろうか。ひとつの先例が英国にある。

英国は80年代、サッチャー首相のもとで規制緩和や国営企業の民営化を進め、競争力を回復、「英国病」を克服した。その反面、貧富の差の拡大、失業率の急上昇という結果をもたらした。その反省から、ブレア政権は市場主義に社民主義的な政策を採り入れた「第3の道」を探っている。小泉改革は20年おくれの「サッチャリズム」ともいわれているが、憑かれたように改革を叫ぶ政策は長続きしないのは明らかだろう。

東京保険医新聞2003年10月25日号より