【高額医療費】償還率が85%に上昇 協会の運動が反映

公開日 2003年11月05日

協会の調査によると、老人高額医療費の昨年10月分の償還率が85%に上昇していることが判明した。

調査は9九月から10月にかけて、都内全62区市町村に対して電話・FAXにより問い合わせを行い判明したもの。協会では5月にも同調査を行ったが(第1次調査)、その際の償還率は、回答のあった自治体22区市平均で63.9%であり、今回の調査(第2次調査)では約20%上昇していることになる。

回答のあった自治体は21区、25市町。問い合わせに対して回答できないとしたものが大田区、武蔵野市、日野市の3自治体であった。償還率が最も高かったのは利島村の100%で、区市部では多摩市の97.5%という結果であった。一方、最も償還率が低かったのは昭島市の68.8%であった。

未申請者に対してはほとんどの自治体で通知をするということになっているが、北区や羽村市のように、通知をしないという自治体も依然としてある状況だ。また回答しないとした自治体は、その理由について、「前回の調査結果(5月)をマスコミに公表されたので今回は回答しない」(武蔵野市)、「10月のみ(単月のみ)で集計をしていないので回答できない」(大田区、日野市)などと答えている。

同制度がスタートして1年が経過した。協会・保団連が高額医療費の未償還問題を取り上げ、調査結果をマスコミ等で公表したことが功を奏し、償還率が上昇してきているのは疑いようのない事実だ。しかし、制度開始から1年ほど経過したにもかかわらず、約15%の患者さんが未償還となっているのも厳然たる事実である。未償還額は46区市町で6144万円にものぼる。協会は9月に行われた「来年度東京都予算等に関する請願」をもとにした都福祉局・健康局との懇談の中でも、高額医療費が確実に償還されるよう、区市町村に対して指導を行うよう要望したが、調査結果を見る限り、指導の徹底はなされていないようである。

あらかじめ全ての老人医療対象者が申請手続きを行う愛知県名古屋市が行っているような方法であれば、ほぼ100%償還できるが、そうした他の自治体の取り組みを参考にせず、いままでのようなやり方を続けていれば、全額償還されることはないというのが現実であろう。国や東京都は区市町村に対して確実に償還がなされるよう徹底した指導を行うべきである。

東京保険医新聞2003年11月15日号より