保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

これ以上、医療従事者に犠牲を強いるな! 更なるマイナス改定に抗議する

公開日 2003年12月05日

次期診療報酬改定について、財務省から最低4%引き下げが提示された。消費者物価指数マイナス1.0%、人事院勧告マイナス4.9%を機械的に当てはめると3%程度のマイナス改定になるというのがその根拠である。

前回のマイナス改定により、2002年の医療費は0.7%減となった。2001年はプラス3.2%の自然増があり、本来同程度の自然増が見込まれれば、2002年は実質マイナス3.9%の減少であったことになる。それが、2003年はプラス1.8%に回復したから、もう1度マイナス改定は可能と考えられているということも聞く。しかし、01年をベースとした時、03年の医療費は3.9%-1.8%=2.1%であり、医療費はまだ01年レベルにも達していない。

ところで、本年7月に決まった来年度予算の概算要求基準では、社会保障関係費の自然増9100億円から2200億円を圧縮することになり、その2002億円のうち、医療予算は1000億円の圧縮が求められた。日医の青柳氏は「仮に1000億円削減しなければいけないと仮定しても、元々3900億円の自然増があり、そのうち400億円の公費負担分が減らされて、残りの2500億円増は確保されている。これは保険医療費3.5%増にあたる。延患者数の増加分が3.5%に満たなければプラス改定が可能だ」と指摘する。

長期処方が定着し、事実上の受診抑制が進んでいる中、延患者数増加率は鈍化しており、予算措置上マイナス改定は不要である。マイナス改定を指示し保険医療機関に圧力をかけている財務省の本意は、別のところにあると勘ぐられても仕方がない。その本意は、保険医療機関が診療報酬だけでは経営が成り立たなくなり、私費保険を含む混合診療の大合唱に合流、そして株式会社の医療機関参入への露払い…というシナリオではないだろうか。

多忙、廉価、マンパワー不足の医療現場は、増え続ける医療ミスの温床となっている。医療制度改善は、各種の国民調査で上位の要求となっている。選挙制度疲労といって小選挙区制度が導入されたように、医療保険の「制度疲労」という欺瞞的なスローガンで、一気に株式会社参入を目論んでいるのではないだろうか。

本来、自由競争社会の弱点を補う社会保障・その中核にある医療保障に、自由競争・利潤追求を本命とする株式会社はなじまない。日本の医療の国際比較で、医療費、人件費、乳幼児死亡率、健康寿命、医療機関へのアクセス、waiting list etc.そのどれをとっても、費用対効果は高いと評価されている。これは、医療従事者の献身的な労働の賜物である。

政府はこれ以上、医療従事者に犠牲を強いるべきではない。

東京保険医新聞2003年12月5日・15日号より