保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

03年を振り返って

公開日 2003年12月25日

今年を振り返ってみると、保険医療関係での最大ニュースは何と言っても健保本人3割負担の実施と薬剤1部負担金の廃止だと思います。健保本人3割負担は、実施前に当時の4野党が共同で凍結法案の提出を行うも、与党側の抵抗で厚生労働委員会での審議すらされずに廃案になってしまったという、大変残念な結果で実施されてしまいました。

東京保険医協会も全国保険医団体連合会や他の保険医協会と協力して、なんとか凍結に向けていろいろと活動を行いましたが、力及ばず悔し涙を流された先生方も数多かったのではないでしょうか。一方、健保本人3割負担の陰に隠れて忘れられてしまっているのが薬剤1部負担金の廃止です。薬剤の剤数によって負担が変わるという、医療の現場からもっともかけ離れた理屈で負担が増えるというとんでもない悪制度だったと思いますが、この廃止を喜ぶ声があまり聞こえてこないのは意外でした。

この廃止は、健保本人3割負担と抱き合わせのように実施されたため、評価されにくかったためとは思います。しかし、何の合理性もないような悪制度が廃止されたのですから、やはりきちんと評価するべきではないでしょうか。今回のこの薬剤1部負担金廃止の実現が、3割負担反対の運動の陰にかくれてしまい、かつては何回も廃止を主張しましたが、そうした声があまり出なくなったころに、政府側の都合、つまり3割負担をスムースに実現させるためのおみやげとして廃止されてしまったということを真摯に受け止めるべきではないでしょうか。

健康保険制度や診療報酬体系には、医学的な根拠や本来のコストをきちんと評価しないものが山のように存在していますが、あまりにも多くて複雑なことと、医療者間でも利害が複雑にからみあってしまっているために、あえて目をつぶってしまっている現状があるように思います。これに対して、負担割合の変更や診療報酬の総額の上げ下げは、非常に単純でわかりやすく、反対や賛成をしやすくまとめやすいという側面があります。どちらの改善に力を入れていくか、長い目で見た場合、国民にとって本当に利用しやすい有意義な保険制度の実現には、どういう運動をして、要求をいていくことが大切なのか。2003年を振り返り、あえて一石を投じて、新年を迎えたいと思います。

東京保険医新聞2003年12月25日号より