保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

【主張】新薬高止まり 薬価問題を考える

公開日 2018年02月28日

新しい医薬品の価格は、(1)新規性に乏しいもの、(2)類似薬があるが、有用性が高いもの、(3)類似薬がないもの、の3類型で決められる。(1)は類似薬よりも安く決められるが、2009年12月4日から2011年3月2日の間に審査された新医薬品45銘柄のうち、新規性に乏しい(1)に分類されたものは1銘柄しかなく、他の44銘柄はすべて、有用性が高い(2)、または類似薬がない(3)に分類された。

(2)は類似薬の1日薬価を基にして、補正加算【画期性加算70~120%、有用性加算5~60%、市場性加算5~20%、小児加算5~20%、先駆導入加算10~20%】がおこなわれる。いずれの加算も明確な基準はなく恣意的で、関係者の裁量にしたがう。

(3)は原価計算方式と称する価格算定が行われる。価格は【製造原価(原材料費、労務費、製造経費)、または輸入原価】に、【販売費、研究費、流通経費、営業利益など】を加え、【消費税】を上乗せされる。製造原価はメーカーが提出する資料のままに決められる。原価計算方式はその名に反して、原価の真偽を確認する方法がない。また、原価は必ずしも医薬品の価値を保障しない。

3類型いずれの場合も、最後に外国平均価格調整(英米独仏の価格と著しく乖離しないようにする)が行われる。しかし、最低価格と最高価格の間には5倍の開きが容認されており、「著しく乖離」の判断が難しい。

薬価収載の申し出があると、厚労省保健局医療課が保険適用の可否、薬価算定方法の区分、加算率などについて原案を作成する。この原案に基づき、薬価算定組織が製薬企業の意見を聞いて算定案を作成し、中医協総会で追認される。ところが、薬価算定組織の会議は非公開で、一切の記録は存在しない。

薬剤費は医療費の約3割を占めているが、全国保険医団体連合会の調査によれば、2010年の日本の薬価はドイツの1.5倍、英・仏の2倍であったという。昨年2月に急きょ、薬価を半額に引き下げられたオプジーボは、英国の2.5倍、米国の5倍の価格がつけられていた。半額でも、まだ米国の2.5倍である。

「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」(新薬創出等加算)は、新薬の革新性・有用性を評価する加算として、米国政府の求めにより試験的に導入されてきた。しかし輸入医薬品の高価格問題がオプジーボで顕在化し、厚労省は抜本改革案として「革新的新薬創出等促進制度」を、中医協の薬価専門部会に提出した。現在、医薬品業界と検討中であるが、特許期間中の医薬品価格を下支えする、恒久的な制度ができかねない。

現行制度の適用をうけるためには、薬価と販売価格の差が少ない企業であること、新しい作用機序と有効性があること、などが条件となっている。「費用対効果加算」も議論されているが、「効果」の定義がないままで薬価を上げる、無理筋の加算である。

医薬品の有用性は販売数量に反映されるはずであり、売上げを先取りした高価格設定は、利益の二重取りになる。まして、医薬品の力だけが病気を治すわけではなく、治るのは何よりも患者さん自身の力であり、家族を含めた医療・介護の総合力を評価しなければならない。

医薬品を高額にすれば利用しにくくなり、治療効果は上げにくくなる。医薬品の価格だけでなく、医療そのものを正当に評価する医療行政を期待したい。

(『東京保険医新聞』2018年2月15日号掲載)

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