保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

【主張】良好な疾病管理ができる制度を

公開日 2018年03月02日

ぜん息医療費助成制度への一部負担導入を考える

東京都は、18歳以上の気管支ぜん息患者に6年間、窓口負担を助成してきた医療費助成制度について、2015年3月31日をもって新規認定患者の受付を打ち切った。さらに2018年4月以降は、現在の認定患者に上限6000円の窓口負担を設けた。都によると、2015年の18歳以上の患者の窓口負担は、平均で1カ月3990円である。

しかし、この制度は廃止されたわけではない。会員の先生方には患者さんに、そのことを徹底していただきたい。そして、現在は窓口負担が上限6000円でも私たち都民の声によって、変えることができる可能性があるので、引き続き皆さんにご協力をお願いする旨をお伝えいただきたい。

さて、今回の主張の要点は、喘息のコントロールが良好なグループと不良のグループを比較した場合の研究を基に検討を加えたい。当院の外来の印象でも助成を受ける前と助成制度が発足した後では、明らかに重症者が激減したような印象がある。

足立満医師らが、日本の気管支ぜん息に関する実態を2008年と2010年にインターネットを使って、大規模調査を行っている。

対象者は、2008年は18歳以上成人パネルの約2万人の中から、2010年は18歳以上2万5000人の中から、自己申告によるぜん息関連疾患を有する患者をそれぞれ648人(2008年)、651人(2010年)抽出した。患者背景情報および治療状況、ACT(Athma Control Test)で評価したコントロール状態、SF―12V2※で評価した健康関連生活の質(HRQOL)、喘息疾患に関連した臨床エピソードの状況、労働状況を基に調査をしている。

その結果、まず、わが国の吸入ステロイド(ICS)の使用割合が、2008年32%、2010年40%と年々増加している。そして、吸入ステロイド使用者の方が、良好なコントロール状態を保つ患者の割合が多い傾向にあることが示された。

健康関連の質、つまり生活の質および精神的健康要約得点が、2008年、2010年共にコントロール不良患者よりコントロール良好患者で高い傾向がみられ、後者に良好な生活が送られていたという結果であった。

良好群の臨床エピソードに関連した1人当たりの年間費用は、コントロール不良群に対して、2008年では年間約160万円、2010年では年間約71万円の費用削減が見られ、労働損失はコントロール良好群の方が不良群に比較して2008年、2010年共に、約40万円の抑制が見られたという。

米国の研究チームも同様な報告をしている。対象は米国および英国の40万例のぜん息患者について12カ月にわたり、重症度およびその転帰を評価した。重症度の高い患者ほど医療資源利用の増加を認めたという。

このようにコントロールが良好であることは、物心両面で、患者の生活環境を良好にすることが証明されている。ぜひとも、助成制度の存続と窓口負担の軽減の運動を協会としてバックアップしていきたい。引き続き会員諸氏のご指導ご協力をお願いしたい。

SF-12は、すでに日本でも広く使用されている健康関連QOL(HRQOL: Health Re-lated Quality of Life)尺度、SF-36、SF-8と同様に、科学的で信頼性・妥当性を持つ尺度で、 SF-12は、SF-36から選択された12項目からなる短縮版。
SF-36では、8下位尺度とサマリースコアが算出可能だが、SF-12は項目が少ないために当初(SF-12v1)はサマリースコアだけを算出するように構成されていた。
現在使用可能なバージョンであるSF-12v2では、項目選択肢の改良などに伴い、サマリースコアだけでなく8下位尺度も算出できるようになった。

(『東京保険医新聞』2018年2月25日号掲載)

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