保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

【主張】国民の願いに逆行する骨太方針

公開日 2018年08月09日

社会保障費の削減を継続

安倍政権は、2013年度~2018年度の6年間で社会保障費の自然増のうち約1兆6,000億円を削減した。6月15日閣議決定された、経済財政運営の指針である「骨太の方針2018」では、2025年に国と地方の基礎的な財政収支(プライマリーバランス)を黒字化することを目標にし、その達成のために、①2019年10月からの消費税10%への引き上げ、②特に社会保障分野での歳出削減を重点に据え、2019年度~2021年度を「基盤強化期間」と位置付けた。この期間の社会保障費の伸びについて具体的な数値目標は示さなかったが、「高齢化による増加分に相当する伸びにおさめる」とし、医療技術の高度化などによる増加分は反映させない方針となっている。

病床削減・医療費削減に向け都道府県を活用

「骨太の方針2018」には2つの特徴がある。第1の特徴は、医療・介護の提供体制の効率化に向けて、国の役割とあわせて都道府県の権限を強化するとしている。例えば、地域医療構想の実現に向けて、調整会議などでの自主的な取り組みによる病床の機能分化・連携が進まない場合には、都道府県知事が権限を行使できるように関係審議会等で検討を進める。その他にも、2018年4月から運営が都道府県に移管された国民健康保険については、保険料の値上げにつながる法定外繰入の解消などの事例を後押し、拡大することに言及している。また、地域別の診療報酬については具体的な活用策を検討するとし、一人あたり医療費・介護費の地域差を縮減する役割を都道府県に担わせる考えだ。

あらたな国民負担増を狙う

第2の特徴は、医療・介護等において、所得だけでなく資産の保有状況を評価し、「能力」に応じた負担が検討されている点だ。この観点から、▽後期高齢者の窓口負担増(2割化)▽現役並み所得高齢者の対象拡大▽外来受診時等の定額負担の導入▽薬剤自己負担の引き上げ等が検討されている。また、人口減少や経済成長に合わせた患者負担割合の「給付率自動調整」の導入については、「保険給付率(保険料・公費)と患者負担率のバランス等を定期的に見える化しつつ、診療報酬とともに保険料・公費負担、患者負担について総合的な対応を検討する」と直接的な表現を避けたが、国民には今後も負担増を強いる方針に変わりはない。「能力」に応じた負担というのなら、460兆円もの内部留保を貯め込み、社会に還元していない大企業(資本金10億円以上)にこそ負担を求めるべきだ。

「骨太の方針2018」は、国民に必要な医療・介護などの社会保障をどのように充実させていくかではなく、社会保障費をいかに削減するかという視点で策定されている。患者・国民の願いは社会保障の充実であり、骨太の方針はこの願いに逆行している。
協会は社会保障費の削減と新たな国民負担増を実行させないために、9月から患者向けクイズハガキや署名に取り組む予定だ。会員の先生方にはぜひご協力いただきたい。

(『東京保険医新聞』2018年7月15日号掲載)

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