【主張】個別指導 通知を受けたら協会へ

公開日 2018年12月28日

ある日、個別指導実施の通知が届いたらどうするだろうか。「個別指導」とは何かを知っている先生は、「ついに来たか」と思うだろうし、知らない先生は「何、これ」と疑問に思うだろう。どちらにとっても歓迎できるものではない。

国民皆保険制度のもとでは、公的制度に基づく契約保険診療を行うため、保険医療機関の指定を受け、保険医の登録をした上で医師が診療の必要性を認めた疾患に対し、一定の約束(健康保険法、療養担当規則など)に従って診療を行わなければならず、料金(点数、単価)や一部負担金も定められたとおりに徴収しなければならない。そのため保険制度が円滑に運用されるよう行政機関が保険医を呼び出し、個別に行う行政指導が個別指導である。
個別指導実施の法的根拠は健康保険法73条の「保険医療機関、保険医は……厚生労働大臣の指導を受けなければならない」に基づいている。

個別指導を含めた指導とは何かについて厚労省保険局長通知が出ている。協会発行の書籍に掲載されているので、ぜひ一読されることをお勧めする。そこには目的として「診療の内容又は診療報酬の質的向上及び適正化を図る」とあり、指導方針として保険診療の取り扱い、診療報酬の請求に関し、周知徹底が主眼で、懇切丁寧に行うとしている。

この記載どおりの指導が行われれば歓迎するが、必ずしもそうでないケースが報告されている。被指導者の人権を侵害するような発言や脅迫めいた行為、質問検査権を駆使した違法まがいの指導が行われている実態がある。
どこにも相談せず、一人で受けて立つことは大変勇気のいることだ。実施通知を受け取ったらぜひ保険医協会へ相談されたい。

協会は指導の知識や情報、注意点を確認し、弁護士帯同や録音の必要性も説明し、弁護士も紹介している。

また行政手続法が先生の味方になる。これは、新規開業医講習会でも解説しているのでこの会への出席もお勧めする。

協会へ相談し準備万端で個別指導を無事に乗り切ることを切に願います。

(『東京保険医新聞』2018年12月5・15日合併号掲載)

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