保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

【主張】2018年協会活動を振り返る

公開日 2019年01月09日

 当協会の活動は多岐にわたっているが、基本となるのは①診療報酬に関する活動(算定、請求にはじまり審査指導対策も含む)、②保険医年金・休業保障などの共済制度、③研究活動(各分野の講習会)、④経営税務関連、⑤各種講習会・講演会、そして⑥国や東京都、マスコミ等への対外活動であろうか。

 ①に関しては、わかりやすさ、詳しさ、正確さでは定評がある。今年は診療報酬の改定期にあたり春に講習会があったが例年通り、大盛況であった。②に関しては保険医年金は安定性重視でありながら予定利率1・259%と、この低金利の御時勢において群を抜く高金利である。④では日々の業務において従業員や患者とのトラブルが生じている医院も多く、また税金のトラブルも少なくない。当協会では弁護士、税理士サポート団の協力を得ながら助言をしている。⑤では、医療関連だけではなく大学教授や現役新聞記者を招いて憲法改定等に関する政治状況について講演をしていただいた。

 10月には東京歯科保険医協会と共同で新宿西口広場の一角で東京医科歯科健康まつりを開催した。約1,500人の来場者があり、医科歯科の活動の一端を市民に知ってもらう良い機会になった。

 一方、医療界には大事件があった。一昨年、ある乳腺外科医が術後病室に戻ってすぐの患者にわいせつな行為をしたとの罪状で逮捕、長期勾留のうえ釈放されたが現在裁判中である。当協会は逮捕直後から支援活動に参加し、会長、理事が面会したりカンパ活動に協力したり微力ながら精神的、経済的な支援を行ってきた。この事件はどう考えてもあり得ないものであり、麻酔が醒めていく過程で起こる術後せん妄の状態での訴えを真に受けた結果、事件化されたものであると考えられるが、裁判過程で次々と捜査のずさんさが明らかになってきている。そのひとつは、証拠の要とされるDNA鑑定の検体が保存されていないことには驚かされる。言いがかりとも言えるこの事件はいつ私たちにもふりかかってこないとは限らずこれからも注視していく必要がある。

 翻って、社会に目を向けると現在の政治状況には厳しいものがある。

 森友・加計学園問題で数々の証拠に加え事務次官の証言や財務省職員の自殺者まで出ているにもかかわらず財務省他の隠ぺい工作が効を奏し現時点ではうやむやになりつつある。どうみてもシロではない首相が、国の根幹である憲法の改定を叫び主導しているのだから開いた口がふさがらない。目玉の9条改定は首相がいうには、「誇りある自衛隊」に必要とのことだが、自衛隊の海外での戦闘に道を開くもので、自衛隊員と国民のいのちを危険にさらすものである。

 われわれ医師には国民の健康を守るという使命があり、日々患者の健康管理に腐心している。しかしいったん戦争になれば、かけがえのない“いのち”が簡単に失われ、その努力は一瞬にして瓦解する。われわれが医療を本来の意味で続けられるのはあくまで平和だからである。したがって、国民のいのちと健康を守り発展させていくという本来の医療を続けるためには、平和な環境を守ることが前提として必要である。

 憲法問題等について学者や新聞記者の方々を招いて、幅広く講演いただいているのはこの思いがあればこそである。

 国政のほころびに加え、経済にも見かけとは裏腹に危機を示す指標が次々と出てきている。私たちは日々の診療に埋没しがちであるが、広い視点をもって社会を見て、関わっていくことが必要なのではないだろうか。

(『東京保険医新聞』2018年12月25日号掲載)

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