保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

医科歯科医療安全講習会を開催

公開日 2019年05月15日

HIVと肝炎ウイルス 感染防止対策と対応

3月10日、医科歯科連携委員会は東京歯科保険医協会とともに医科歯科医療安全講習会を開催。国立国際医療研究センター病院の青木孝弘氏(医師)、丸岡豊氏(歯科医師)が講演した。

日本におけるHIV感染の特徴


 青木氏は、「HIVと肝炎ウイルスへの感染防止策と血液・体液曝露事故への対応」と題し、講演した。

 日本における新規HIV感染症報告数は、年間約1500人であり、諸外国に比べると多くはないものの、東京など大都市部で多く報告されている。HIV検査は、原則として本人の同意を得る必要があり、スクリーニング検査(抗体検査)で陽性となった場合でも偽陽性の可能性もあるため、次の段階の確認検査で陽性となった場合にHIVの確定診断とする方がよい等の注意点を指摘した。

 

早期の予防内服で感染リスクを低減


 HIVの感染リスクは0・02%と、他の感染症に比べて特別に高いわけではなく、HIV患者の血液・体液等に曝露した場合でも、抗HIV薬の早期内服によって感染リスクを限りなく低くすることが可能である。

 そのうえで、まず具体的な感染防止策として、採血の際に①適切な大きさの手袋を着用する、②原則的にリキャップはしない、③使用後は針を直ちに廃棄する等の、スタンダードプリコーション(標準予防策)の実践が重要であるとした。

 曝露事故が起きた際の対応では、曝露部位を洗浄し、すぐに責任者に報告するとともに予防内服について相談すること、抗HIV薬の初回内服は可能な限り早期に開始すること、等が重要であると指摘した。

 予防内服の費用は、抗HIV薬2剤を28日間服用した場合、約20万円だ。青木氏は、東京都の「HIV感染防止のための予防服用マニュアル」を示し、医療従事者等が感染源であるHIV保有者の血液等に業務上接触したことに起因してHIVに感染した場合には、業務上の疾病として取り扱われるとともに、医学上必要な治療は労災保険の対象になると情報提供した。

 一方、B型肝炎はワクチンで予防できる疾患であることから、感染防止策としては、医療機関の従業員に予めワクチンを接種して抗体をつけておくことが最も重要であると強調した。

 

シンプルな歯科感染防止策


 歯科医療機関は、昨年10月から院内感染防止対策について施設基準に適合できなければ、初再診料が減点されることとなり、院内感染防止対策への関心が高まっている。丸岡氏は「HIVと肝炎ウイルス感染者の口腔症状とシンプルな感染防止対策」を解説した。

 HIV感染症や肝炎等の患者が歯科医療機関を受診する際に、自分から申告するケースは稀であることから、常に院内で最低限の感染予防策を心がける必要があると述べた。そして高額な費用をかけないシンプルな感染防止対策の例として、歯科診療ユニットで汚染されやすい部分のみをラッピングフィルムで覆う「ラッピング法」を紹介した。

(『東京保険医新聞』2019年3月25日号掲載)

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