保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

【主張】骨太の方針2019と財政審建議に抗議する

公開日 2019年07月03日

 財政制度等審議会の財政審建議(「令和時代の在り方に関する建議」)を受けた政府は、6月21日「骨太の方針2019」を閣議決定した。経済財政運営の基本方針とする。
 骨太の方針は「全世代型社会保障」を掲げるが、その内容は患者の自己負担をさらに増やし、保険給付を減らすものとなっている。

社会保障をさらに削減

 財政審建議は、社会保険での「給付と負担のバランスの回復」を特に強調し、以下の施策を提言している。

 医療費については、世代間の負担の公平性や社会保障制度の持続可能性の確保という観点から、75歳以上の後期高齢者の自己負担を速やかに原則2割にすべきとした。さらに、金融資産の保有状況から負担能力を判定する制度の設計や、後期高齢者医療制度における「現役並み所得」の判定基準を見直すなど、これまで以上の負担を求める必要性に言及している。同様に、介護保険の利用者負担も原則2割にすべきと求めた。

 その他にも、全世代に共通するものとして、▼かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担導入、▼薬剤自己負担の引き上げ、等の負担増を提言している。

 2018年度から、国民健康保険の財政運営は、都道府県の責任になったことをふまえ、区市町村が独自に支出してきた一般会計からの法定外繰入金を速やかに廃止し、国保料(税)の軽減をやめるとともに、保険給付総額に応じた保険料の徴収を求めており、高すぎる国保料(税)が、さらに値上げされることになる。

 また、地域医療構想を実現するために、診療報酬を見直すとともに、保険医療機関の届出時などに、民間医療機関に対して都道府県知事が病床数や病床機能の変更を促す命令を出せるようにするなど、病床の支配権を握る構えだ。

定年延長と、年金の受給開始年齢の遅延を狙う

 高年齢者雇用安定法によって、事業主には65歳までの雇用機会の確保が義務付けられているが、骨太の方針2019には、就業を70歳まで延長するための努力規定が盛り込まれた。具体的には、①定年廃止、②定年を70歳まで延長、③継続雇用制度の導入、など多様な選択肢を法制化し、事業主が被雇用者と相談し、選択できる仕組みを検討する。

 他方、財政審建議においては、「将来の年金給付水準が想定より低くなることが見込まれる」という、原案の文言は削除されたが、60歳から70歳の間で選べる公的年金の受給開始時期を、70歳以降にも遅らせることが可能にするべきだとしている。公的年金の給付を抑制したいとの狙いは明らかだ。

誰もが安心して受けられる医療・社会保障を

 政府は、患者負担増や保険給付の削減によって、社会保障において果たすべき国の責任を後退させるのではなく、誰もが安心して受けられる医療・社会保障の実現に力を尽くすべきだ。消費税10%への増税が骨太の方針に明記されたことに改めて抗議するとともに、協会は社会保障の拡充を強く求め運動を進めていく。
 

(『東京保険医新聞』2019年7月5日号掲載)