保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

医科歯科連携研究会―認知症 多職種でサポート

公開日 2020年02月05日

 協会医科歯科連携委員会は12月8日、東京歯科協会および千葉協会と共催で「医科歯科連携研究会2019」を開催し、医師、歯科医師、コメディカル等50人が参加した。

 「認知症高齢者をサポートするために」をテーマに、櫻井博文氏(東京医科大学病院 高齢診療科教授)、枝広あや子氏 (東京都健康長寿医療センター研究所 研究員)が講演した。また、中村洋一理事および馬場安彦東京歯科協会副会長がパネルディスカッションの座長を務めた。

認知症の予防と治療

 はじめに、櫻井氏が「高齢者認知症の課題と予防」と題して講演した。

 2016年度の国民生活基礎調査では、介護が必要となった原因として、認知症が脳血管疾患に代わりトップとなった。2018年には認知症の人が500万人を超え、今後、高齢化が進むなかで、認知症高齢者もいっそう増加すると予測されている。そして、2019年6月18日に取りまとめられた認知症施策推進大綱では、「共生」とともに「予防」に重点を置くとした。

 櫻井氏はまず、高齢者認知症の課題として、①医療連携、②薬物治療、③介護者支援を挙げた。

 ①医療連携については、在宅認知症患者対策ネットワーク(東京医科大学病院と新宿区、中野区、杉並区の各医師会が協力して実施)の例を挙げ、認知症の早期発見、対応のためには、かかりつけ医と認知症疾患医療センターなどの専門医、また地域包括支援センターなどとの連携が欠かせないと指摘した。

 ②薬物治療については、認知症の症状によって治療薬を選択し、本人、家族等と相談のうえ適切に処方することが重要であると述べた。

 ③介護者支援としては、認知症に伴う精神症状、異常行動への対応、施設入所を考える時期等について、セミナーなどを通じ介護者や家族等に情報提供する機会を設けてはどうかと提起した。

 予防については、生活習慣病やフレイルが認知症の進行に関係していることを紹介し、認知症の治療を行う際、状況に応じて高血圧、糖尿病、脂質異常症などの治療を行う必要性に言及した。そして、食事療法や運動療法などは、認知症、フレイル、どちらの予防にも効果的であると紹介した。

多職種連携と情報共有が鍵

 次に、枝広氏が「認知症の人の生活を支える医科歯科連携」と題し、医師・歯科医師間で診療情報を共有することや、多職種連携で認知症高齢者を支える重要性を訴えた。

 認知機能と口腔機能は相互に影響し合っており、生活習慣病だけでなく、歯周病も認知症の原因となる。そこで、患者が歯科医療機関を受診する重要性について、医師がサービス担当者会議や退院時カンファレンス等の場で呼びかけてほしいと訴えた。

 他方で、認知症になると「食べられない」様々な原因を周囲に伝えることが困難になるため、訪問看護師、介護士、薬剤師などの多職種で連携し、食事の形態を落とさず、摂食・嚥下機能や栄養状態を低下させない工夫が必要だと強調し、そのためには食支援を重視する医師の存在が大きいと述べた。

 後半のパネルディスカッションでは、参加した医師、歯科医師から「認知症の診断基準について知りたい」「訪問歯科診療が重要との認識を医師のなかで広げるにはどうすればよいか」等、活発に質問が出され、意見を交換した。

(『東京保険医新聞』2020年1月25日号掲載)

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