東京保険医協会 第101回 定時総会決議

公開日 2020年03月31日

東京保険医協会 第101回 定時総会決議

 新型コロナウイルス感染症の拡大は、日常診療に用いるマスクや消毒用エタノールなどの供給・備蓄不足、検査体制の不備、感染症病床をはじめとする病床不足など、わが国の感染症対策の脆弱さを明らかにしました。今回明らかとなった問題点の検証、対策が必要です。

 私たちはいのちと健康を守る医師として、国民皆保険を守り、すべての人々が尊厳を保って幸せに暮らせる社会の実現を目指しています。国民生活基礎調査(2018年)では、生活が「苦しい」と回答した世帯が、57.7%と高止まりしています。昨年10月に消費税が10%に増税されたことで国民生活はさらに苦しさを増しています。地域の住民が安心して受診できるよう、患者負担の軽減が必要です。

 一方で、診療報酬は2002年以降、累計で10%以上引き下げられており、今次診療報酬改定は全体では0.46%のマイナス改定です。全体でのマイナス改定は2014年度から連続4回目です。基本的な技術料であり、医業経営の原資となる初診料や再診料はまたも据え置かれました。たび重なるマイナス改定、人件費の上昇、消費税増税などによって医療機関は経営困難に陥っており、国民に安全な医療を提供するには極めて不十分な改定です。改めて基本診療料の引き上げを求めます。

 私たちは、日本国憲法 第25条に明記された「健康で文化的な」生活を、すべての国民に保障することを求め、第101回定時総会にあたり、以下の項目の実現を要求します。

一、後期高齢者の自己負担2割への引き上げなどの患者・利用者負担増を行わないこと
一、国民健康保険制度には必要な国費を投入し、支払える国保料とすること
一、感染症、災害、救急、周産期・小児、難病・障がい者などの行政的医療を維持できなくなる組織改革はやめ、公立・公的病院を拡充すること
一、医療機関の経営が成り立つよう、初診料・再診料などの基本診療料を引き上げること
一、ワクチンの開発、採用、製造、供給、補償においては国が責任を持ち、国から独立した機関(日本版ACIP)で議論できるようにすること
一、個人のスコアリングにつながるマイナンバーカードに、保険証機能を結合させないこと
一、地球環境の変化による新興、再興感染症に対する体制を充実すること
一、騒音被害、墜落、落下物の危険性があり、健康被害をもたらす羽田新ルートは見直すこと
一、原発は使わず、つくらず、輸出せず、再生可能エネルギーの利用を促進すること
一、沖縄県民のいのちと尊厳を無視して環境を脅かす、新基地建設をやめ、普天間基地は無条件で返還させること

以上

2020年3月28日  東京保険医協会

2020年3月28日総会決議[PDF:147KB]

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