【要望書】指定感染症の運用および隔離施設に関する要望書

公開日 2020年04月01日

2020年3月30日

内閣総理大臣 安倍 晋三 殿
厚生労働大臣 加藤 勝信 殿
東京都知事 小池 百合子 殿

一般社団法人 東京都保険医協会
代表理事 鶴田幸男

指定感染症運用、隔離施設に関する要望書

 

要望趣旨

1.新型コロナウイルス感染者のうち重症者は確実に病院に入院できるようにしてください。
2.新型コロナウイルス感染者のうち無症状・軽症の患者については、指定感染症の運用を弾力的に行ってください。
3.都立公園などの都の施設(オリンピック宿泊用施設を含む)、あるいは国や都外の公的施設、都・民間を問わず病床削減政策で閉鎖
された病棟、昨今利用者が減少したホテル、旅館などを活用し、無症状・軽症の新型コロナウイルス感染者を隔離収容できる収容施設
を約1万人分程度1週間以内に開設してください。

 

要望理由

 新型コロナウイルスは首都東京において感染者が急増し、3月25日に知事御自身が緊急会見を行い都民への注意喚起と共に隣接県への要請を行ったところです。

 感染拡大期においては、指定医療機関の崩壊を防ぐために、一般医療機関を含めた診療分担の必要性が専門家会議からも示されております。

 今後知事の示された77カ所等の新型コロナウイルス専門外来で検査陽性者とされた患者のうち、現在のように軽症患者まで指定感染症の規定から全員入院措置をさせると、感染が急拡大する東京では指定医療機関のみならず、一般医療機関の病床も不足する事態になると思われます。

 さらに、一般診療所はコロナウイルス感染者とその他の患者を区分して診療することが困難です。二次感染者を生じる恐れがあります。現在不足している発熱外来施設を大幅に増やし、高齢者、糖尿病患者、高血圧患者および腎不全患者等とは分離して診療できるようにしてください。

 本疾患の感染者のうち8割は無症状または軽症者であることが全世界的報告から明らかにされており、軽症者については自宅、その他の施設での隔離が妥当と考えます。そのためには指定感染症の柔軟な運用が必要です。また、住宅環境が手狭なことが多い都内において、感染者が自宅で他の非感染の家族と同居を続けることが困難な場合が多く、家族も新型コロナウイルスに罹患する可能性が高くなると思われます。自宅での療養が困難な場合に備え、一定の期間を隔離して居住できる都の施設または、都の敷地に収容施設を用意していただくことが必要と考えます。

<参考>

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律

第十九条 都道府県知事は、一類感染症のまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該感染症の患者に対し特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関に入院し、又はその保護者に対し当該患者を入院させるべきことを勧告することができる。ただし、緊急その他やむを得ない理由があるときは、特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関以外の病院若しくは診療所であって当該都道府県知事が適当と認めるものに入院し、又は当該患者を入院させるべきことを勧告することができる。

以上

指定感染症運用、隔離施設に関する要望書[PDF:135KB]