【要望書】臨床検査技師の検体採取業務に関する厚生労働大臣指定講習会の早期再開要望書

公開日 2020年07月01日

2020年5月9日

厚生労働大臣 加藤 勝信 殿

東京保険医協会 会長 須田 昭夫

 

臨床検査技師の検体採取業務に関する厚生労働大臣指定講習会の早期再開要望書

 

【要望趣旨】
 2014年4月1日以前に国家資格を取得した臨床検査技師に対して、検体採取業務に関する厚生労働省指定講習会を早急に再開してください。

【要望理由】
 今般、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大の速度は、日本の医療体制の対応力を凌駕しています。特に医療従事者の絶対的な不足は顕著であり、各地で過重労働による疲弊が起こっています。

 その中で、今般厚生労働省は、新型コロナウイルスのPCR検査に限り、法律的には本来認められていなかった歯科医師にも検体採取を臨時に認めるという決定を行いました。このことは緊急事態宣言中でもあり、当を得た処置と思われます。

 ところで、2014年4月1日以前に国家資格を取得した臨床検査技師は2日間の講習を受講すれば、法律的に検体採取業務を行うことができます。しかし、この講習会が2019年4月以降、開講されていないのは、人材活用の観点から惜しまれます。1970年の臨床検査技師制度発足から2020年までにおよそ20万人の臨床検査技師免許取得者がいる中で、医療機関への従事者数は現在およそ6万5千人です。2014年の法改正により、同年から2019年まで、主に現役の臨床検査技師に対して講習会がおこなわれ、検体採取業務を行える臨床検査技師が約6万人誕生しました。

 しかし、それ以降は講習会が開催されていません。また現在医療業務に就いていない臨床検査技師には十分な広報がされておらず、講習を受ければ検体採取業務を行えることを知らない臨床検査技師が多数存在しているはずです。

 2020年4月29日、一般社団法人日本臨床検査技師会会長が会員向けに発信したメッセージには、現在の状況で臨床検査技師が果たすことができる役割は、各地域や各施設におけるPCR検査体制の構築の支援と、検体採取と、PCR検査への人的支援であると述べられています。

 今回の非常時に限らず、医療現場では人手不足の状態が慢性化しており、1人でも多くの有資格者を育てることが急務であると同時に、離職した有資格者を再雇用する取り組みも必要かと存じます。わずか2日間の講習で検体採取業務が法律的に可能になる人材を飛躍的に増やすことが可能です。有能な技術者を活かす方法をご検討ください。

 

以上

臨床検査技師の検体採取業務に関する講習会早期再開要望書[PDF:1MB]