新型コロナ 会員アンケート(全国)医業経営に深刻な影響 保団連と合同記者会見

公開日 2020年07月01日

 東京協会と保団連は、5月25日、厚生労働省内で「新型コロナウイルス感染症拡大の影響に関する緊急アンケート」(全国調査)の第一次集計速報を発表する記者会見を行った。

 東京協会からは須田昭夫会長、吉田章副会長が、保団連からは住江憲勇会長、宇佐美宏歯科代表らが参加した。

 アンケートは、5月14日までに寄せられた回答を第一次集約分(約5600件)として、その一部(約3600件)を集約したもの。

 医科の集約数は計2020件、内訳は診療所1816件、病院204件となっている。

須田dr
左から吉田副会長、須田会長、住江保団連会長、宇佐美歯科代表、森元保団連理事(5月25日、厚生労働省内)

外来患者・収入
ともに大幅な減少

 会見の冒頭、「速報値」についての報告が行われた。

 外来患者数が対前年4月比で「減った」と答えた医療機関は全体の87・4%。減った割合は、0~30%減が64・8%、31~50%減が21・3%、51~70%減が6・3%となっている。

 患者数が減った割合を標榜科別でみると、最も深刻なのは「耳鼻咽喉科」で31~50%減の医療機関が58・1%、51~70%減が21・5%。続いて深刻なのは「小児科」で31~50%減が46・8%、51~70%減が21・6%となっている。

 また、診療報酬が「減った」と答えた医療機関は86・5%。減った割合は、0~30%減の医療機関が64・4%、31~50%減19・5%、51~70%減5・4%となっている。

 標榜科別に見ると、「耳鼻咽喉科」では31~50%減の医療機関が53・8%、51~70%減が22・6%。「小児科」では31~50%減が47・4%、51~70%減が17・5%と、患者減と同じ傾向を示した。

地域医療を守るため
医療機関への公的支援を

 この報告を受け、須田(東京協会)会長は、「医療機関の経営は安泰とお考えかもしれないが、そうではない。医療は配当が禁止されているので、自己資本で運営せざるを得ない。また余剰資産を蓄えてはいけないという規定もあり、経営的な体力は弱い。したがって、患者数が3割、5割と減ってしまうことに対する備えができていない。患者の受診減・収入減により、テナント料、人件費が払えずに困っている医療機関は多い。閉院を考えているところもある。地域の医療提供体制を守るために医療機関への公的支援をお願いしたい」と訴えた。

 また、吉田副会長は「内科診療所を開設しているが、当院の場合30%程度の患者減、診療報酬減が見られる。平時の診療でさえ潤沢な利益が上がっているわけではないところに、これだけの減収となると、その影響は極めて大きい。しかもこうした状況は一過性のものではない。緊急事態宣言が解除されたからといって、患者がすぐ定期通院に戻るとは考えにくく、長期化も懸念される。そうなると、われわれ医療機関の経営危機のみならず、患者の病状悪化も危惧される」と述べた。

 協会は本アンケートについて、東京の医科医療機関に絞った集約と分析を進めることにしている。政府は第2次補正予算案に家賃支援や雇用調整助成金・持続化給付金の拡充を盛り込んでいる。

 会員医療機関の要望が早期に実現するよう、引き続き国・東京都に対して強く働きかけていく。

(『東京保険医新聞』2020年6月5日号掲載)