保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

[主張]今こそ医療機関への財源措置を

公開日 2020年10月13日

 政府は9月15日、第二次補正予算の予備費10兆円から新型コロナ追加対策として1兆6386億円を支出することを閣議決定した。

 その内訳は、検査体制の抜本的な拡充に131億円、治療薬・ワクチンに948億円、医療提供体制の確保に1兆1946億円、その他3361億円である。

 ただし、「医療提供体制の確保」の具体的な内容を見ると、新型コロナ感染症患者の病床・宿泊療養施設確保支援(7394億円)、新型コロナ感染症患者を受け入れる特定機能病院等の診療報酬・病床確保料の引き上げ(1690億円)、インフルエンザ流行期における発熱外来診療体制確保支援(2170億円)等、いずれも新型コロナ感染症患者または疑い患者に対応する医療機関に限定されたものである。

 しかし、新型コロナ感染症患者を診察しているか否かにかかわらず、医療機関は困難な状況に置かれている。協会が9月14~18日にかけて行った会員アンケート(第4回)によれば、外来患者数、保険診療収入が前年同期に比べて減ったと回答した割合はそれぞれ83・3%、81・4%であり、過去3回のアンケートからほとんど改善していない。

 5月診療分の診療報酬について、申請に基づき過去の診療実績による概算前払いが行われたが、これは7月以降に実際の報酬との差額を返還しなければならず、実質的には「前借り」に過ぎない。その間に融資などを受け資金調達を行うことが推奨されていた。

 しかし同アンケートでは、当面の資金調達のための融資について、受けたと回答した医療機関は39・2%に留まっている。また、持続化給付金、家賃支援給付金、雇用調整助成金についても、申請したと回答した医療機関はそれぞれ22・7%、12・5%、28%に留まり、そもそも受給対象となっていないとの回答が持続化給付金65・8%、家賃支援給付金76・4%を占めている。「どの助成制度もわずかの差で受給対象から外れており、何の支援も受けられていない」との声も寄せられた。様々な国の助成制度も、医療機関の窮状を救うには不十分であることが浮き彫りになったと言える。

 長年にわたる医療費抑制政策の中で、医療機関の経営体力は奪われてきた。診療報酬は2014年度改定から既に4回連続のマイナス改定となっており、2014年、2019年の2度に渡る消費税増税による損税負担も重くのしかかっている。こうした中で、新型コロナ感染症拡大による損失が加わり、既に経営が成り立たない医療機関が発生しているのが現状だ。

 コロナ禍の影響を受けているのは新型コロナ感染症に直接感染した患者だけではない。感染の不安から医療機関への受診控えが続き、その中で慢性疾患等の管理の悪化や病気の見落とし等により、健康を損なうケースが報告されている。コロナ患者への対応の有無にかかわらず、地域の医療機関が、適切な感染予防体制の下で診療を継続できる体制が必要である。

 今後、秋から冬にかけて新型コロナ感染症患者が増加し、インフルエンザの流行も重なることが予想される。公費を投じての、あらゆる医療機関を対象とした損失補填、助成が今こそ求められている。

(『東京保険医新聞』2020年10月510日号掲載)