[主張]数は力なり―保険医協会へのご入会を

公開日 2021年05月07日

医業経営を守れ 要請の一部は政策に反映

 緊急事態宣言が解除された現在も、先生方におかれましては不安な思いで毎日の診療にあたられていることと存じます。

 この1年、東京保険医協会は「保険医の先生方に寄り添う活動」をスローガンに、日々の活動に取り組んできました。

 2020年4月の緊急事態宣言発出を受け、協会は会員の状況を把握するため、4回に渡って医業経営に関するアンケート調査を実施しました。その結果、収入と患者数が5割以上減少した医療機関が3割を超えるという衝撃的な実態が判明しました。経営的な打撃に加えて、マスクや消毒用エタノールなどの医療物資の入手が困難である状況も明らかになりました。

 協会は厚労省内で記者会見を行い、医療機関の窮状と患者さんの受診抑制による病状悪化の実態を訴えました。要請項目の一部は「新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金」「感染拡大防止等支援事業」などの諸制度に反映され実現しましたが、未だに多くの医療機関が経営悪化に苦しんでおり、地域医療は崩壊寸前であると言わざるをえません。

 また、それらの助成制度も、急な告知や曖昧な規定、複雑な申請方法などにより、医療機関にとってはハードルが高いものでした。協会では、会員にいち早く情報を提供するとともに、制度や申請に関する問い合わせに懇切丁寧に対応しました。また全ての医療機関が診療を存続できるよう、有効な減収補填や十分な助成金の拡充を行政に対して訴え続けてまいりました。

75歳以上窓口負担2割化が国民の健康を破壊する

 政府は今国会で75歳以上の医療費における窓口一部負担を2割に引き上げることを閣議決定し、関連法案を今国会に提出しました。世代間格差の是正を名目にしていますが、子育て世代への児童手当を削る法案も別途提出しており、政府の対応は矛盾に満ちたものと言わざるを得ません。

 コロナ禍で国民生活は既に疲弊しており、その上さらに窓口一部負担が増えれば、今以上の受診抑制と、それに伴う疾病の重症化が加速される恐れがあります。

保険医の力を合わせて医療崩壊を守ろう

 東京保険医協会は、「保険医の保険医による保険医のための組織」です。同時に国民の健康と医療の向上を目的として活動しています。保険医の立場から行政に対して働きかけ、「保険医の生活を守り、患者さんに適切な医療を提供できる社会」を目指しています。

 「数は力」と申します。未入会の先生方のご入会を心よりお待ちしています。地域医療を崩壊させないためにも力を合わせ、コロナ禍を共に乗り切りましょう。

(『東京保険医新聞』2021年4月5日PR号掲載)