COVID-19感染拡大状況の悪化に伴う東京オリ・パラ開催判断に係る緊急要望書

公開日 2021年07月20日

2021年7月19日

内閣総理大臣        菅 義偉 殿
東京五輪担当大臣    丸川 珠代 殿
厚生労働大臣        田村 憲久 殿
東京都知事       小池 百合子 殿
東京五輪組織委員会会長 橋本 聖子 殿

東京保険医協会
         会   長    須田 昭夫

COVID-19感染拡大状況の悪化に伴う東京オリ・パラ開催判断に係る緊急要望書 

 

 皆様が、東京オリンピック・パラリンピック(以下、東京オリ・パラ)の安心・安全な開催に向けて尽力されていることを承知した上で、今回の要望を申し述べます。
 本年7月18日、東京都は新型コロナウイルス(以下、COVID-19)感染者が、あらたに1,008人確認されたことを発表しました。新規感染者が1,000人を超えたのは5日連続となりました。
 一方全国でも、計3,103人の新規感染が新たに判明しました。3,000人を超えるのも5日連続で、東京オリ・パラ開催の主要施設が集まる首都圏全体で増加しているほか、関西圏でも増加が顕著となっています。
 このようなCOVID-19の感染拡大をうけて、専門家組織「アドバイザリーボード」は東京都について、「感染拡大の速度はさらに加速する」との分析をまとめ、とくに50代以下を中心に今後、入院者数の増加傾向が続くことを推定しました。
 現在、新型コロナワクチン接種が全国各地で実施されていますが、ワクチンの供給不足により接種の新規申し込みを停止する自治体が相次いでいます。東京オリ・パラに協力するボランティアの多くが、ワクチン接種を十分に受けられないまま運営に参加せざるを得ない状況となります。大会では内外の関係者がオリ・パラ競技施設に集合することが感染を拡げれば、全地球的な感染状況の悪化に拍車をかけることも懸念されます。
 現状は「人類がコロナに打ち勝った」状態ではありません。
 現在、東京の多くの医療機関はCOVID-19への対応や、未曾有の予防接種業務で手いっぱいであり、東京オリ・パラ開催に協力する余裕はほとんどありません。当協会が、オリ・パラの開催が困難であることをIOCに打診し、IOCの中止決定を引き出すよう政府に対し意見をまとめ要望したことは、世界各国のメディアによって報道されました。
 百歩譲って、開催を強行した政府が無観客での開催を決断したことは評価できます。しかし、状況は私たちが懸念していたより深刻な事態に近づいていると思料せざるを得ません。
 都民・国民のみならず、東京オリ・パラに参加する各国の選手団および海外メディア関係者のいのちと健康を考える私たち都内の医師は、東京オリ・パラに責任を持つ機構と政府に対して、以下の項目について早急に検討し実施していただきますよう緊急に要望いたします。

 

 

一、 COVID-19感染状況が悪化して、大きな悲劇が懸念されています。東京オリンピック・パラリンピック開催について、状況によっては中止もあり得ることを政府・東京都・組織委員会が承認すること。

 

一、 COVID-19感染状況の悪化による開催中止の判断は決して個人に委ねず、一刻も早く感染症の専門家会議にはかり、迅速にIOCに伝えるという手順を踏み、その決定は国内外に速やかに公表すること。

 

以 上


COVID-19感染拡大状況の悪化に伴う東京オリ・パラ開催判断に係る緊急要望書[PDF:195KB]