英「ランセット」誌 協会意見書を紹介

公開日 2021年07月20日

 
 取材を受ける須田会長。協会の主張はニュース番組「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で取り上げられた

 協会が5月14日に発出した意見書「政府と東京都は東京オリンピック・パラリンピックの中止をIOCに打診してください」が、イギリスの医学雑誌「ランセット」に取り上げられた。

 同誌は"We need a global conversation on the 2020 Olympic Games"(東京五輪について世界的な議論が必要)と題する論説を6月12日付で公表した。東京五輪で200を超える国から1万5千人の選手や8万人近くの関係者・サポートスタッフ・記者らが東京を訪れることになり、本来避けられるはずの新型コロナウイルスの感染や、ウイルスの変異をもたらし、参加者の帰国先での新たな流行発生につながる危険性があると指摘している。

 2016年のリオデジャネイロ五輪ではジカ熱が問題となったが、当時のCDC長官が「大会を中止または延期する公衆衛生上の理由はない」と宣言している。同論説は、今回の東京五輪開催の是非について、WHOやCDCなどの世界的な機関が沈黙していることを「責任逃れ」だと批判し、今すぐに世界的な議論を行うべきだと訴えている。

 同論説は大会が日本国内の感染状況にも悪影響を与える可能性にも触れており、東京保険医協会が「東京の病院は手一杯で、余力は
ほとんどない」として、菅総理大臣に東京五輪の中止を打診するよう呼びかけたことを紹介している。

 東京五輪に関する協会の意見書は、「東京の医師の団体の声」として、ロイター通信やCNNなど複数の海外メディアで取り上げられた他、国内の新聞社、テレビ局等からの取材を受けている。

 協会は引き続き、東京五輪開催の危険性について、医師の立場から広く訴えていく。                                               

 「ランセット」誌論説はこちら

(『東京保険医新聞』2021年7月15日号掲載)