【声明】COVID-19検査保険収載価格に係る突然の見直しに抗議する

公開日 2021年12月21日

2021年12月20日

厚生労働大臣     後藤 茂之 殿
中央社会保険医療協議会 会長 小塩 隆士 殿 殿

【声明】COVID-19検査保険収載価格に係る突然の見直しに抗議する

東京保険医協会
会 長 須田 昭夫
 

  厚労省中央社会保険医療協議会は12月8日の総会で、COVID-19検査に係る保険収載価格の見直しを提案し、一部経過措置は設けるものの、本年12月31日に引き下げを行うことを決定しました。これに伴い12月10日付で、変更内容に係る通知が厚労省保険局医療課から発出されています。

 この度の保険点数の引き下げに係る変更は、通知も突然ながら発出から実施までがわずか20日と大変短いものです。加えて厚労省への問合わせもできない年末期の実施のため、COVID-19診療が求められている医療現場への十分な周知期間が確保されず、検査実施や請求などで混乱を来すことが懸念されます。

 さらに今回の検査料引き下げは、「SARS-Cov-2・インフルエンザ核酸同時検出(検査委託)」が、現行点数1,800点から700点へと、元の39.9%まで引き下げられ、激変緩和のための経過措置でも1,350点へ25%の引き下げとなります。また早期診断のために推奨されているコロナ抗原定性検査では、経過措置なしに600点から300点へと一挙に50%引き下げられます。
 この結果COVID-19検査の実施に協力する発熱外来等を行なう多くの医療施設では、これまでの価格で購入した検査試薬を12月31日以降使用すると、購入代金が検査料を大幅に上回るようになり費用負担を強いられることになります。

 私たち医療者は、地域医療の第一線でCOVID-19診療に対応すべく十分な感染対策を講じて診療に取り組んでいます。今般のこれら医療施設に対する十分な周知期間確保への配慮を欠いたCOVID-19検査保険収載価格に係る突然の見直し発表は、その間のCOVID-19診療の努力を軽視し、COVID-19診療に取り組む医療現場を混乱させていることに抗議するものです。

 また突然の検査価格見直しに伴い、発熱外来等の医療施設で既に購入した検査試薬を、12月31日以降に使用する場合、仕入れ価格と診療報酬に大幅な差損を生じますが、国の責任において当該医療施設に対し損失を補てんするべきと考えます。詳細な実態の把握が困難ですので、一律の慰労金として補てんする方法も一案かと考えます。いずれにしても、行政的医療に協力してきた医療機関を蔑ろにすることには強く抗議致します。

 併せて、国民が迅速かつ負担なくCOVID-19検査を受けられるよう、行政検査当日に患者自己負担となっている初・再診料や院内トリアージ実施料、検体採取料等を、検査結果にかかわらず公費負担医療制度の対象とし、国民が医療費の心配なくCOVID-19検査を受けられるよう、体制を整備することを改めて要望します。

以 上

【声明】COVID-19検査の保険収載価格に係る突然の見直しに発表に抗議する[PDF:148KB]