新型コロナワクチン接種費用の見直しに係る要望書

公開日 2021年12月28日

2021年12月24日

内閣総理大臣  岸田 文雄 殿
厚生労働大臣  後藤 茂之 殿
財務大臣    鈴木 俊一 殿
ワクチン接種推進担当大臣 堀内 詔子 殿

東京保険医協会
         会   長    須田 昭夫

新型コロナワクチン接種費用の見直しに係る要望書 

 

 貴職らの、新型コロナウイルス感染症への対応に敬意を表します。

 今般、「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き(第5版)」(以下、手引き5版)が出され、追加接種に係る取り扱いが明記されました。その中で接種単価については1,2回目接種費用と同額と示されています。

 そもそも、日本政府が認可している新型コロナウイルスの、m-RNAワクチンはいずれも筋肉注射(以下「筋注」と呼びます)製剤です。また、現在、本邦では問題となり積極的推奨が停止されているHPVワクチンは筋肉注射です。それ以外のワクチンは、一般に皮下注射であり小児に対するワクチンの筋注製剤はありませんでした。日本の医療機関で、筋肉注射ワクチンが接種されることはほとんどなかったのです。

 したがって、新型コロナワクチン接種が特別なシステムで開始された上、不慣れな筋注手技が開始され医療現場が大変混乱したことは、貴職らの想像を超える状況であったと推測されます。それにもかかわらず、新型コロナワクチンの接種単価は、従前から慣れている皮下注射のインフルエンザワクチン接種の単価よりも安価に設定されたことは不合理であり、合意できません。

 新型コロナワクチンの追加接種にあたっては、ファイザー社製ワクチンの①大人用0.3mlと②小児用0.2ml、またモデルナ社製ワクチンの③1・2回目用0.5mlと④3回目用0.25ml、都合4種類の接種量を打ち分ける必要があります。ミスなく安全に接種を行うためには、毎回の接種においてこれまで以上に注意と確認の作業が求められますが、そのための手間や労力等が評価されておりません。

 一方で5歳から11歳までを接種対象に加えて実施することが検討され、各地の自治体では具体的な検討が開始されています。同年代の接種は学校等での集団接種が推奨されない方針のため、希望者が各医療機関へ個別に接種を申し込み実施することも想定されます。

 手引きでは6歳未満の乳幼児加算額が新たに設けられましたが、5歳から11歳までの小児への接種は12歳以上の児童に比べ、接種実施について十分に説明して同意を得るための時間、さらには接種を安全に行うための補助者の確保が必要となります。また、前述のように小児科医療機関では三角筋への筋注の経験が少ないことから、手技を安全に施行するための確認の時間や緊張と集中力も必要となります。

 今般の新型コロナワクチン接種の、小児への対象拡大については適応を慎重にご検討のうえ、実施に際しては安全な接種を行う観点から、以下の項目を速やかに実現されるよう要望いたします。
 

 

一、    新型コロナワクチンの接種単価を高齢者インフルエンザワクチンの接種単価相当額に引き上げてください。
一、    接種対象の見直しは慎重に行い、5歳から11歳まで接種対象を拡大する場合、接種に要する時間・労力、人員の確保に係る費用を評価し、加算額を新設してください。

以 上


新型コロナワクチン接種費用の見直しに係る要望書[PDF:80KB]