[主張]2021年協会活動を振り返る

公開日 2022年01月08日

副会長 中村 洋一 

新型コロナ対策、要望、研究会等多彩に活動

 昨年に続きコロナに振り回された1年であった。

 特に夏場からは第5波に見舞われ、医療現場の病床逼迫だけでなく自宅療養者への対応などに追われた。政府の対応策が後手にまわり有効な感染予防対策が打てず一部地域では医療崩壊を招いた。重症になれば命の問題になるというのに、政府や東京都は地域医療再編や都立・公社病院独法化の動きを止めようとせず、医療抑制策を続けている。

 一方、我々医療機関の多くは減収に直面した。外来での発熱者への対応や自宅療養者への対応など政府の要請に真摯に応えてきたのに、各種支援金の支給遅れや十分な支援を得られずに、倒産・閉院する医療機関も出てきた。

 こうした中、協会は早い段階から感染拡大を見越し、PCR検査対象者の拡充や支援金給付の実現などの要望書や請願を次々と打ち出してきた。コロナ関連だけでも17本の要望書を政府や都に提出した。都に対しては東京都医師会とも協力してPCR検査の拡充や治療薬の導入の働きかけも行ってきた。

 新型コロナに関する研究会も当初の院内感染予防から、診断検査方法、重症化のケース、イベルメクチンなどの治療薬、ワクチン接種の仕方などに関連して開催した。中でも関西で実際に自宅療養者への積極的な対応を行っている医療機関の医師に直接に医療の経験を講演いただいたことは、我々に勇気を与えてくれたと思っている。

 医科歯科連携の取り組みでは、ワクチンの筋肉注射の接種方法について解剖学的、具体的に学ぶ講習会を行い、好評を得た。ワクチンに関するリーフレットやポスターも作成し外来患者への啓発活動も行った。

これからも会員に寄り添う活動を

 第3波の頃には東京オリパラ開催の是非がさし迫り協会としては国、都へ中止を要望したが、多くの国民が反対する中強行されてしまった。また、マイナンバーカードを医療機関での保険証資格確認に利用促進させようと政府は目論んでいるが、協会としては数多くの問題点を指摘してきた。拙速な導入には慎重にならざるを得ない。ポスター「これまで通り健康保険証で受診してください」を作成し会員医療機関に貼ってもらう活動も行った。同時に医療機関へのサイバー攻撃への対応も今後の課題であり、講演会を開催した。

 3月、6月には臨時総会、定時総会が無事開催された。協会活動に活発な意見が出され、執行部への評価をいただけたと思う。

 コロナ禍で通常よりも大幅に増加した電話相談には、事務局が対応してきた。特に支援金の申請など会員に分かりやすく説明し、受給できるように支援した。コロナ禍で残念ながら倒産や経費節減で退会する会員もいたが、会員数は増加傾向で来年には6000人に到達する目標も立てられそうである。

 これからも会員に寄り添う活動を地道に続け、会員の保険診療、医療活動を支援しなおかつ共済制度の普及で安心の生活、医師人生を歩めるように図りたい。

(『東京保険医新聞』2021年12月25日号掲載)