[支部地区だより]城南 新興・再興感染症パンデミック 将来に向けた医療体制構築が課題

公開日 2022年01月08日

 城南支部は11月26日、大井町のきゅりあんで例会を開催し、医師・スタッフ8人が参加した。

 権守支部長の挨拶、支部の会員現況・入退会の報告に続き、呼吸器の専門医である工藤宏一郎氏(有隣病院院長)を講師に招き、「新興呼吸器感染症パンデミック―過去・現在・未来―」をテーマに講演が行われた。

 100年前のスペインかぜに始まり、そこから10~40年の周期で新たなインフルエンザパンデミックが発生している。そろそろ次のパンデミックが起こるのでは、と見られていたところにCOVID―19のパンデミックが発生した、と工藤氏はこれまでの経緯を説明した。

 このような新興・再興感染症が発生する背景には、東~東南アジアによく見られる、生きた家禽を販売する「ウェット・マーケット」があり、インフルエンザやCOVID―19に代表される「人獣共通感染症」が伝播する温床となっているという。さらに人や物の輸送機能が超高速化したことで、感染症が世界に伝播する速度も格段に高まっているため、そうした人獣共通感染症から発生する新興・再興感染症が今後も定期的にパンデミックを起こすリスクを世界全体が抱えていると指摘した。

 2021年11月現在、日本国内におけるCOVID―19の感染状況は落ち着きを見せているが、今後の先行きは不透明だ。また将来的にも新興・再興感染症のパンデミックが起こるリスクがあるため、パンデミック時に医療が逼迫しないよう、平時と非常時に診療体制を転換できるような仕組みを構築していくことが今後求められる。そのためには、平時・有事を問わない、疾病対策センターのような常設機構の設置が必要であるとまとめた。

 その後、事務局から新型コロナウイルスに関連する診療報酬と補助金、オンライン資格確認についての資料を紹介した。講演後は活発な質疑応答が行われ、最後に権守支部長が挨拶して閉会した。

(『東京保険医新聞』2021年12月25日号掲載)