[パブコメ]「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の見直しに関する意見

公開日 2022年02月10日

2021年12月27日

 

【パブリックコメント】「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の見直しに関する意見

東京保険医協会
 

 

 医師法第20条により、直接対面することなく薬剤を処方することは無診察治療として禁止されている。検討を重ねた現在の「指針」では、今までの診療で医師が熟知している患者については、一定の条件のもとでオンライン診療を認めています。

 近年の通信技術の発達により、在宅の患者さんを遠隔モニターする技術が普及していますが、今後ますます活用される技術と考えられ、オンライン診療として正当に評価されてよいでしょう。在宅医療を受ける患者さんについても、通信機器を用いた診療の普及を図ることが望まれています。

 しかし初診については、「直接の対面で行うべき」と明確に禁止するべきです。患者さんは症状の軽重を判断できません。医師の診察は五感、時には六感を用いて患者の異常の有無を確認しています。入室時のドアの開け閉め、歩き方、手の動き、視線、表情、体臭、息遣いなど、あらゆることが情報源となります。

 液晶画面の顔ばかりを主要な情報源とする患者さんにオンライン診療を行おうとすると、情報が大幅に不足することに気づかないわけには行きません。オンライン診療では、疾病の見落としや誤診が必発です。

 現在、新型コロナウイルス感染症が蔓延しており、オンライン診療が認められていますが、患者の移動による感染の拡大や、医療機関におけるクラスターの発生などを防止するためであって、あくまでも緊急避難的な、時限的措置です。

 一般社団法人日本医学会連合は「問診と画面越しの動画のみで診断を確定することのできる疾患はほとんどない」として「初診のオンライン診療は背景の分かっている患者に対してのみ」と声明を出しています。

 初めての症状を訴えながら、時間的あるいは経済的な理由で対面診療や訪問診療を受けられないという状態は、放置してよいことではありません。有傷病者の通院時間を保障する労働条件の最低限の確保や、貧困の解消をはかるなど、まずは受診しやすい環境を整備するべきです。

 オンライン診療は限定された場合での対面診療の補完に留めてエビデンスの検討を行うべきで、初診からのオンライン診療は、医師の団体として到底認められません。

 

【パブリックコメント】「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の見直しに関する意見[PDF:80.5KB]